【葬儀の現場から】エンディングライフサポート葬祭
身寄りが乏しい、または連絡先が分からない入居者が亡くなった後、葬儀だけでなく、遺体搬送、退去、残置物の整理、原状回復、相続手続きなど、さまざまな問題が一気に押し寄せる。中でもマンションオーナーの立場からは、病院が提携する葬儀社にそのまま搬送を依頼することが、地域での見送りを難しくする「落とし穴」になり得るとの指摘がある。
今回の事例では、西成周辺のマンションに長く暮らしていた入居者が死亡。ヘルパーからマンション管理会社に連絡が入り、管理側の希望でエンディングライフサポート(大阪市阿倍野区)が葬儀などを担った。
病院では、親族や連絡先が分からない場合、提携する葬儀社へ遺体搬送を依頼するケースがある。病院側としては必要な対応だが、そのまま手続きが進めば、マンションのオーナーや管理会社、日頃から本人を支えてきた地域の関係者が、本人の状況を十分に把握できないまま火葬まで進む可能性がある。
さらに、病院提携の葬儀社では、遺体が遠方の斎場へ搬送されるケースもある。マンションオーナーらにとっては、入居者の葬儀に顔を出したくても、距離や時間の問題から参列しにくくなる。近隣住民やヘルパーなど、故人と日常的に接していた人にとっても同じだ。
今回の事例では、こうした事情から、マンション側がエンディングライフサポートに依頼。近隣の提携会館でお別れを行う福祉葬とし、オーナーや近隣の人、支援者らが故人を見送れる形を取った。〝どこで葬儀をするか〟は、単なる場所の問題ではなく、故人と地域とのつながりを最後にどうつなぐかという問題でもある。
しかし、死亡後に待っているのは葬儀だけではない。入居していた部屋の退去、荷物の整理、家賃、原状回復、遺骨の扱い、親族探しなど、オーナー側には次々と対応が求められる。
特に注意が必要なのが原状回復費用だ。生活保護受給者の住み替えでは、一定の条件で引っ越し費用が支給される場合があるが、死亡後の退去に伴う原状回復費用まで補助されるわけではない。身寄りがなければ、残された荷物の処分や部屋の修繕などを誰が担い、費用を誰が負担するのかという問題がオーナーに残る。
今回のケースでは、ヘルパーも荷物整理に協力し、残された荷物も多くなかったため、大掛かりな作業には至らなかった。ただ、家族がいない場合には、オーナーが片付けや費用負担に直面する可能性がある。
さらに、死亡後の支援は遺品整理だけにとどまらない。葬儀をきっかけに、必要書類を探したり、行政書士や司法書士につないだり、住環境を整えたりする相談へ広がるケースもある。エンディングライフサポートでは、こうした相談を「よろず相談」として受けているという。
家族がいる場合でも、故人の生活用品や実家の荷物をすぐに処分するのは容易ではない。心理的な負担に加え、整理や処分には費用もかかるため、対応が先送りされることもある。その結果、住居が長期間放置されれば、相続人が増え、誰が管理や費用を負担するのかも分からなくなり、空き家問題へ発展する可能性もある。
一人暮らしや身寄りの乏しい人が増える中、問われているのは「誰が葬儀をするか」だけではない。最期を地域で見送り、その後の住まいや残された物、相続まで含めて、誰がどう支えるのか。今回の事例は、死後に発生するさまざまな問題を、地域全体で考える必要性を示している。

<取材協力>エンディングライフサポート葬祭/大阪市阿倍野区阿倍野筋5丁目13−10/電話(0120)805787
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