Osaka Metro(大阪市高速電気軌道)は6月5日、大阪市中央区のOsaka Metro本町ビル1階エントランスホールで開催していた〝万博レガシー「希望のピアノ」in御堂筋・本町〟のクロージングイベントを開いた。大阪・関西万博で人気を集めた「いのちの遊び場 クラゲ館」の取り組みを引き継ぐ企画で、4月29日から6月5日まで実施。最終日は音楽や伝統芸能が融合した多彩なプログラムで締めくくられた。

会場では、「いのちの遊び場 クラゲ館」プロデューサーで音楽家、数学者の中島さち子氏によるトークショーをはじめ、「くらげバンド」の演奏、山本能楽堂による謡(うたい)、世界遺産として知られる仁和寺の御詠歌とピアノによる共演などを実施。ワークショップや関連グッズ販売も行われ、多くの来場者で賑わった。

イベント期間中の5月15日から29日までの毎週金・土曜には、「希望のピアノ」を一般開放するストリートピアノ企画も開催。万博会場で使用されたピアノを実際に演奏できる貴重な機会とあって人気を集め、実施中は常に10~20人ほどが順番待ちをする盛況ぶりだったという。
「希望のピアノ」は、ヤマハのフルコンサートグランドピアノ最高峰モデル「CFX」を使用。世界中の子どもたちが描いた約900体のクラゲの絵でラッピングされた特徴的なデザインで、万博会場でも話題となった。期間中は子どもから高齢者まで幅広い世代が演奏を楽しみ、アニメ「鬼滅の刃」やスタジオジブリ作品の楽曲などが流れていた。
冒頭あいさつしたOsaka Metro取締役の齋喜唯明氏は、クロージングイベントの入場券約120席が4~5分で完売したことに触れ、「多くの方々に支えていただいた」と謝意を表明。中島氏や、ピアノの調律を担当した三木楽器(大阪市中央区)など関係者の協力に感謝した上で、「幅広い世代の方々に万博レガシーを楽しんでいただけた。当社は今後も街づくりを通じて新たな価値を創造していきたい」と述べた。
中島氏は、万博会期中に交流したイタリアをはじめ国内外で関連イベントを展開していることを紹介し、「万博で生まれたつながりを生かし、日本各地や海外で〝万博同窓会〟のような取り組みを続けている。9月には長崎での開催も予定している」と説明。「クラゲ館には大阪市の人口に匹敵する約270万人が訪れた。そこで生まれた出会いや活動を未来へつないでいきたい」と語った。
また、Osaka Metro都市開発事業本部の喜多慎太郎氏はイベントの背景を説明。同社は2025年5月に同ビルのオフィス・商業区画を取得し、「Osaka Metro本町ビル」に名称変更した。御堂筋と本町通の交差点に位置し、御堂筋線と中央線が交わる本町駅のランドマークとして、にぎわい創出や地域交流の拠点づくりを進めているという。
喜多氏は「万博のレガシーを地域活性化に生かしたいと考えていたところ、三木楽器さまから『希望のピアノ』活用の提案をいただいた」と経緯を説明。オープニングイベントや地域連携企画、ストリートピアノなどを通じて万博レガシーの継承と発信を図ったとし、「今回の企画は万博レガシー活用の第二弾。第一弾では万博を振り返る写真パネル展示を実施した。今後は第三弾も検討しており、インパクトのある企画を準備している」と意欲を示した。
午後7時ごろから始まった中島氏と「くらげバンド」による演奏では、エントランスホールの壁面に映し出された映像と音楽が一体となった幻想的な空間を演出。ガラス張りのホールからあふれるダイナミックな音楽と映像は御堂筋沿いにも広がり、歩道を行き交う人々が足を止めて見入る姿が見られた。万博から生まれた〝希望のピアノ〟の音色が、本町の街に新たな賑わいをもたらしていた。

