大阪・関西万博に出店した発酵食レストランが、常設店として梅田に戻ってくる。発酵をテーマにした「醗酵食堂 Hasshoku」が3月中旬、ヒルトンプラザイースト大阪(大阪市北区)の地下2階にオープンする。万博会場で来場者の記憶に残った象徴的な〝木桶(きおけ)席〟もそのまま移設され、「アフター万博」を象徴する新たな食の拠点として注目されそうだ。

運営する初亀(大阪府枚方市)によると、同店は万博会場内の「ウォータープラザマーケットプレイス東」で184日間営業し、180席を備えて「日本の発酵食文化を世界に」をテーマに展開した。会期中はイートインで約28万食、テイクアウトで約27万食、計約55万食を売り上げ、国内外の来場者に発酵食の魅力を発信してきた。
今回の出店は、その万博店舗を日常利用向けに再構成した初の常設店となる。「発酵でつながる、味わい深い未来。」をコンセプトに、普段使いから会食まで幅広い利用を想定。ランチタイムには、淡路牛を使った特製ハンバーグなどを主菜に、小鉢や豚汁、発酵スイーツを組み合わせた発酵定食を提供する。ディナータイムは照明を落とし、発酵調味料を生かした和食や洋食、スイーツと酒を楽しむ大人向けの時間を演出する。

店内でひときわ存在感を放つのが、万博店舗で象徴的だった〝木桶席〟だ。江戸時代、しょうゆやみそ、酢といった和食の基礎調味料は木桶で造られていたが、現在その製法によるしょうゆの国内シェアは約1%とされる。伝統的な木桶文化を後世に残そうとする「木桶職人復活プロジェクト」と万博店舗の理念が重なり、同プロジェクトと協同で設けたのがこの木桶席である。桶を締める竹製の箍(たが)は、プロジェクトメンバーと同社スタッフが協力して仕上げた。今回は万博会場から移設し、レジカウンターとして再活用することで、発酵食と深く結びつく木桶の魅力を引き続き発信する。
店舗デザインは、空や海をイメージした万博会場の開放的な雰囲気から一転し、ベージュやブラウンを基調とした落ち着いた空間とした。木桶や樽、瓶など発酵文化を想起させる素材を用い、「蔵の温もり」と洗練された都会感を融合させている。ビジネスパーソンや施設利用者を意識し、歓送迎会や同窓会などに対応できる20~30人規模の貸切個室も設けた。
席数は60席(うち個室24席)。店舗面積は約105平方㍍。営業時間は、ランチが午前11時半から午後3時まで、ディナーが午後5時半から午後9時半(ラストオーダー)となっている。さらに、木桶仕込みの小瓶しょうゆ「職人醤油」など、全国の作り手の思いが詰まった発酵関連商品をそろえる物販コーナーも展開し、家庭でも発酵食文化に触れられる場とする。
