大阪・関西万博の公式キャラクター、ミャクミャクが2025年の「顔」として存在感を放った。登場当初は賛否を呼んだが、全国でのPRやSNSでの拡散を通じて親しまれ、今や大阪の風景に溶け込む愛されキャラとなった。

〝異形〟から〝時代の象徴〟へ 賛否超え、愛されたミャクミャク
大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」が、2025年の〝顔〟として駆け抜けた1年。開幕1000日前の22年7月に愛称が発表されたときは、「気持ち悪い」「怖い」などの声も。ところが、全国でPRに奔走するうちに親しみが広がり、今年は赤(動脈)と青(静脈)のおなじみのカラーが大阪の風景に溶け込む存在になった。(竹居真樹)

流行語、グッズ800億円超の経済効果
「わあ、ミャクミャクだ!」「こっち向いて」。万博期間中、ミャクミャクはさまざまな催しにひっぱりだこ。姿を現した瞬間、会場の雰囲気は一気に盛り上がり、来場者はスマホやカメラを向ける。
このミャクミャクの熱狂ぶりに観光政策の舵取りを担う大阪観光局の溝畑宏理事長もあやかった。ミャクミャクのなりきりクッションを頭にかぶり、自らを「ミャクひろし」と名乗って講演会や記者会見に臨んだ。移動中にもそのスタイルを貫き、体を張って話題を振りまいた。
大阪市内の至るところにもミャクミャクが設置された。市役所前の巨大モニュメントは撮影スポットとして定番化し、万博会期中の7月30日に会場へ移され、閉幕後は12月26日まで再び市役所前に里帰りした。
話題性は「ことば」にも波及。年末恒例の「新語・流行語大賞」で、ミャクミャクはトップ10入り。SNSでも「きもかわいい」「ミャクミャク様」などの投稿が増え、SNS流行語大賞は1位に。また、今年の漢字では「脈」が4位に選ばれた。
振り返れば、愛称が発表された当初は「腕が溶けているように見える」「選び直してほしい」など否定的な意見が大阪府などに相次いだ。それが一転、「ミャクミャクのガチャガチャがあれば全国どこでも行く」などとすっかりファンになった市民も多い。万博に30回以上訪れた40代の会社員女性は「ミャクミャクへの愛が止まらず、自分でカチューシャを手作りした。見れば見るほど愛着がわく」と話した。
10月7日の万博協会理事会では、ミャクミャクを中心とした公式ライセンス商品の売り上げが800億円(8月末時点)と発表された。当初は10月13日までだったライセンスの使用期限も来年3月末までに延長。閉幕後の今もその勢いは続いている。

