2025NEWSダイジェスト 世界が揺れ、日本が動き、大阪が走った1年

 国際情勢の緊張も、国内の制度や経済の変化も、最終的には地域の現場に現れる。2025年の世界・全国の主要ニュースに大阪の動きを重ね、1年の転機を振り返る。

夜も美しかった大阪・関西万博の会場

1月 January

埼玉県八潮市で道路陥没トラック転落で男性死亡
 埼玉・八潮市の県道交差点で1月28日、道路が陥没しトラックが転落。運転手の男性が地下に取り残されたが救助が難航し、約3カ月後に遺体で発見された。高度成長期に整備されたインフラの老朽化が顕在化し、点検や更新の必要性を突きつける事故となった。

中居正広氏を巡る報道でフジテレビ経営陣が辞任
 タレントの中居正広氏を巡る一連の報道を受け、フジテレビの嘉納会長と港社長が引責辞任。3月には日枝相談役も辞任し、経営体制の刷新と再発防止策の検討が進むこととなった。

ロスで大規模山火事長期化し甚大被害
 米ロサンゼルスで1月7日に発生した大規模山火事は強風の影響で鎮圧までに時間を要し、パシフィック・パリセーズなど住宅地にも被害が及んだ。多数の建物被害や避難生活を余儀なくされる住民も続出。

大阪新阪急ホテル60年の歴史に幕
 1964年の開業以来、梅田のランドマークとして愛された大阪新阪急ホテルが、老朽化のため60年の歴史に幕を下ろした。跡地は阪急大阪梅田駅と一体的な再開発が計画されている。

◎イチローが米野球殿堂入り
◎米大統領にトランプ氏就任

2月 February

コメ高騰で備蓄米放出へ
 深刻なコメ不足と価格高騰を受け、政府が備蓄米放出に踏み切った。流通量の確保が進む一方、供給の不安定さや農政の課題が改めて浮き彫りに。気候要因なども背景に、食料安保の観点から生産・備蓄の在り方を見直す議論が強まった。

◎ホンダ・日産、経営統合撤回

3月 March

サッカー日本代表W杯出場決まる
 サッカー日本代表は、2026年の北中米W杯アジア最終予選を勝ち抜き、8大会連続8度目の本大会出場を決めた。森保一監督率いるチームは悲願の「ベスト8」進出、その先の新しい景色を目指し、世界の舞台へ挑む。

大阪府内の公示地価上昇率全国トップクラス
 公示地価が公表され、大阪府の上昇率が全国トップクラスに。万博やIR開業を見据えたインフラ整備に加え、梅田・難波の再開発がけん引。商業地・住宅地ともに高騰した。

グラングリーン南館開業ヒルトン最上級ホテル進出
 JR大阪駅北に3月21日、グラングリーン大阪南館やホテル阪急グランレスパイア大阪が開業。4月3日には、日本初進出のヒルトン最上級ホテル「ウォルドーフ・アストリア大阪」も開業し、キタの魅力がさらに高まった。

3月に開業したグラングリーン大阪南館

府立高、半数が定員下回る
 大阪府立高入試の出願で全日制128校中、半数超の65校が定員を下回った。授業料完全無償化で、設備や進学実績に勝る私立への流出も一因。少子化に伴い、大阪では府立高の再編が進む。統廃合で一定の生徒を確保し、教育の質を高めるのがねらい。

4月 April

大阪で55年ぶり万博開幕
 4月13日、夢洲で大阪・関西万博が開幕した。大阪開催は55年ぶり。「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げ、世界158の国と地域が参加した。開幕初日から大勢の来場でにぎわい、関西経済のV字回復を担う半年間の未来の祭典が華々しくスタートした。

大阪市内のホテル価格高騰ビジネス客から悲鳴
 万博開幕による観光客急増を受け、大阪市内の宿泊費が記録的な高騰を見せた。ビジネスホテルの料金が例年の3〜5倍となり、出張の会社員らから悲鳴が上がった。予約も困難で、滋賀や奈良など近隣県のホテルへ宿泊せざるを得ない「大阪宿泊難民」が続出。

米トランプ大統領の相互関税世界が大混乱
 米トランプ大統領の関税方針を巡り、世界の市場が動揺した。日本には相互関税25%の案が示されたが、日米交渉で税率は15%に落ち着いた。あわせて対米投資で最大80兆円規模の枠で合意したとされ、経済と外交の駆け引きが注目を集めた。

400年の眠り覚め「豊臣石垣館」開業
 大阪城天守閣の南東に「豊臣石垣館」が開業。徳川幕府によって埋められた豊臣期の石垣を掘り起こし約400年ぶりに公開された。野面積みの荒々しい石垣を間近で見学でき、大阪に新たな歴史ロマンが加わった。

豊臣石垣館で公開されている豊臣期の大坂城の石垣

5月 May

ニンテンドースイッチ2「買えない」悲鳴が続出
 任天堂が待望の新型機「ニンテンドースイッチ2」を発売。8年ぶりの世代交代に市場はわいたが、転売対策で店頭販売はなし、抽選倍率は数十倍に。「また買えないのか」とファンの不満が爆発。フリマサイトでは定価の倍以上で取引され、ハードの進化よりも供給不足の深刻さが際立つ船出となった。

6月 June

日本郵便に運送許可の一部取り消し
 国交省は日本郵便の受託会社へ、運送許可の一部取り消し処分を下した。時間超過や記録改ざん等の悪質違反が発覚。「2024年問題」監視下で、公共インフラを担う巨大グループへの異例の厳罰となった。

パンダ4頭が中国へ返還涙の別れ
 和歌山県白浜町「アドベンチャーワールド」のジャイアントパンダ4頭が、繁殖研究のため中国四川省へ返還された。早朝の旅立ちには多くのファンが詰めかけ、「ありがとう」と涙ながらに見送った。

7月 July

参院選で自公が過半数割れ
 参院選で自公が過半数割れとなり、石破首相が窮地に立たされた。裏金問題や物価高への批判をかわしきれず、国民から厳しい審判が下された。「ねじれ国会」で政権運営はまひし、党内から「石破おろし」が公然化。石破氏は9月7日に辞意を表明した。

8月 August

神戸のマンションで女性刺殺
 神戸市中央区で24歳女性が男に胸などを刺され死亡した。男は女性に執着し、マンションに侵入して犯行に及んだとされる。男は過去にストーカー関連事件で有罪判決を受け執行猶予中だったと報じられ、12月に殺人の罪で起訴された。

◎夏の甲子園、沖縄尚学が初優勝

9月 September

史上最も暑い夏に
 気象庁は夏(6~8月)の平均気温が統計開始以来、過去最高を記録したと発表。平年値を2・36度も上回った。

藤川虎、2年ぶり覇権奪還
 阪神が2年ぶりにセ・リーグ優勝。就任1年目の藤川球児監督が甲子園で宙を舞い、スタンドは涙と歓喜の渦に。道頓堀周辺は厳戒態勢となったが、ミナミの夜は朝まで「六甲おろし」の大合唱が鳴り止まなかった。

10月 October

自民総裁に高市早苗氏初の女性首相へ
 10月4日投開票の自民党総裁選で、高市早苗氏が総裁に選出された。憲政史上初の女性首相が誕生。保守再生と経済安全保障を最優先する新政権が発足した。
 自民と維新が連立政権樹立で合意。公明が離脱し、過半数割れで窮地の政権が維新の掲げる「統治機構改革」などを全面的に受け入れた形だ。大阪を本拠とする政党が国政与党となるのは史上初。関西の政治力が国政の中枢に直結する歴史的転換点となった。

自民党総裁選後、会見に臨む高市早苗新総裁=10月4日、東京(代表撮影/ロイター/アフロ)

クマ被害が深刻に死傷者は過去最多ペース
 猛暑によるエサ不足が響き、10月時点でクマによる死傷者が全国で過去最多ペースを更新(11月末時点で死者13人)。山間部だけでなく、市街地や河川敷にも出没。近畿も住宅街への侵入や通学路の閉鎖が相次ぎ、自治体は住民の命を守る対策に追われた。

一般来場2500万人超万博が閉幕
 10月13日、大阪・関西万博が閉幕した。最終日は入場制限がかかる大混雑となり、フィナーレの花火が夢洲の空を焦がした。後半の追い上げで一般来場者数は半年間で2557万8986人。2005年愛知万博の約2205万人を上回り目標入場者数を達成した。

安倍元首相銃撃事件の初公判
 22年7月に奈良市で街頭演説中に殺害された安倍晋三元首相銃撃事件の初公判が奈良地裁で開かれた。山上徹也被告は罪状認否で「私がしたことに間違いありません」と述べ、殺人罪などを認めた。

11月 November

特区民泊の新規申請「停止」ドミノ
 万博閉幕を機に、府内自治体で特区民泊の新規申請の受付停止や離脱の動きが相次いだ。特需の裏で騒音やゴミなどの住民トラブルが頻発するなどで限界に達したため。

中国、台湾巡る発言に反発
 台湾情勢を巡る日本側の発言を受け、中国側が反発を強め、日本への渡航に慎重な対応を促したため、観光や流通面に影響。日中関係の緊張が民間交流にも波及する形となった。

ガソリン税の暫定税率が廃止に
 ガソリン税の暫定税率を廃止する法律が参院本会議で可決・成立した。廃止時期は12月31日。流通への影響や地方財政への配慮、軽油引取税の暫定税率を来年4月1日に廃止するために必要な措置を講じることなどが盛り込まれた。

12月 December

青森で震度6強 初の「後発地震注意情報」
 12月8日夜、青森県東方沖でM7クラスの地震が発生。青森で震度6強、岩手で70㌢の津波を観測。この地震で気象庁は「後発地震注意情報」を初めて発表。同注意情報は、M7クラスの地震の後、数日以内に巨大地震が連鎖発生する可能性があるため、警戒レベルを高めるよう呼びかけるもの。

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