寝屋川市は、ノーベル化学賞を受賞した同市在住の京都大学特別教授・北川進氏を、市制初の名誉市民に選出した。北川氏が開発した新素材「多孔性金属錯体(MOF)」は、エネルギー革命の鍵として世界が注目。市内には祝賀の懸垂幕が掲げられ、歴史的快挙に街全体が沸いている。

12月3日、ノーベル化学賞の受賞が決まった寝屋川市在住の京都大学特別教授・北川進氏。当日、寝屋川市の本会議で、同市制施行以来初となる名誉市民に選出されたことを、広瀬慶輔市長が交流サイト「X(旧ツイッター)」の自身の公式アカウントで速報。翌4日には、寝屋川市の情報配信アプリ「もっと寝屋川」でも発表された。
名誉市民の選出については、10月末ごろ、広瀬市長がXで「寝屋川市〝初〟の『名誉市民』を贈呈するための手続きに入りました…」と投稿。以降、X上では、寝屋川市ゆかりの著名人に関する予想が飛び交い、盛り上がりを見せた。候補としては、今年の米女子ゴルフツアーで新人賞を獲得した山下美夢有選手、元プロ野球選手の上原浩治氏、Puffyの吉村由美さん、作家の又吉直樹氏、元大関・豪栄道関、宇良関らの名が挙がった。
ノーベル賞授賞式の翌日となる12月11日、寝屋川市役所本庁舎に、北川氏の受賞と名誉市民選出を祝う懸垂幕が掲げられた。広瀬市長は「市民みんなでお祝いしたい」と喜びを語り、市内は祝賀ムードに包まれた。
市内の小中学校では、受賞を祝う時間が設けられ、国松緑丘小学校では特別授業も実施。児童たちは、北川氏の受賞理由である「多孔性金属錯体(MOF)」について学習した。MOFは「スポンジのような金属」として紹介され、そのナノサイズの特徴や活用法について活発に意見を交わし、化学への興味や探求心を深めるきっかけとなった。
MOFは、極めて小さい穴が無数にあいたジャングルジムのような構造を持ち、気体を大量に閉じ込めることができる新素材。今後は、空気からエネルギーを取り出す技術革新の鍵として、さらに注目が高まりそうだ。(濱田康二郎)

