SCAT WORKS (大阪市)

大阪メトロ南森町駅から徒歩2分。オフィスと住宅が混在するビジネス街の路地裏に、一風変わったシェアオフィス「SCAT WORKS」(大阪市北区)がある。保護猫カフェとコワーキングスペースの同施設は、単なる癒やしの場に留まらず、従来の「動物保護活動」が抱える資金難の課題を解決し、持続可能な活動を目指す次世代のモデルケースとして注目を集めている。
保護猫の命繋ぐ「ビジネス」
このユニークな形態の背景にあるのは、「動物保護活動とビジネスの両立」という明確な目標だ。店内で飼育されている18匹は、交通事故で親を亡くしたり、悪質なブリーダーの元から引き取った「保護猫」。飼い主のいない猫の避難所「猫シェルター」としての役割を運営の根幹に置いている。
店長の南口ひかりさんは、「保護活動はボランティア的な側面が強く、資金力が低下すると継続できなくなるケースが多い」と指摘。その問題を解決するため、収益源となるシェアオフィス、猫カフェ、トリミングサロンを複合経営している。継続性のある事業で得た収益を、猫の治療や飼育に充てる仕組みを確立した。南口さんは「事業を通じて動物保護についてより多くの人に知ってもらいたい」と、活動への強い思いを語る。
「猫ファースト」で共存空間を追求
猫カフェとしては珍しく人とのスペースを分割して、程よい距離感を作り出し、また猫たちの家であるバックヤードへ自由に戻れる通路を作っている。繊細な性格でストレスを抱えやすいのでリラックスできるよう、人と猫の距離感に細心の注意が払われている。
最大の特徴は、仕事に集中したい人や猫アレルギーの人でも安心して利用できるよう、「コワーキングエリア」と「猫エリア」を窓ガラス1枚で完全に仕切る構造を採用した点。これにより「どんな人でも安心して猫と会える環境」を実現した。
(文=長澤拓)

