上方講談師・旭堂南龍が、明治の総合商社「鈴木商店」の波乱万丈の歴史を題材にした創作講談を初演。神戸新聞松方ホールでの公演には、双日や神戸製鋼など鈴木商店ゆかりの企業関係者が多数来場した。

鈴木商店ゆかりの地・神戸で初公演
上方講談の真打ち、旭堂南龍による創作講談「鈴木商店 百折不撓〜知られざるその後〜」の初回公演が同商店ゆかりの神戸市にある神戸新聞松方ホールで開催。同商店をルーツに持つ総合商社「双日」はじめ地元企業KOBELCOの「神戸製鋼所」や「IHI」(旧社名・石川島播磨重工)などの社員多数が詰めかけた。

明治の巨商・鈴木商店の軌跡
鈴木商店は明治維新後の1874年、樟脳や砂糖の貿易商として設立。世界的な商社としてだけでなく番頭だった中興の祖・金子直吉(1944年、77歳で死去)の頑張りで食品、鉄鋼、海運、造船、保険などの会社を次々創設。一時は国家予算の倍以上の年商額を誇る総合商社として財閥系商社と覇を競ったが、昭和に入った1927年、昭和金融恐慌のあおりを受け事業停止した。しかし関連100社と言われた流れをくむ企業群は21世紀の現代も日本経済の一翼を担っている。

双日が講談化を依頼 アーカイブと映像で再現
ネット上の「鈴木商店記念館」発起人の「双日」本社人事第二部・小林正幸専門部長が「2027年は神戸開港160周年と鈴木商店が事業停止して100年の節目の年。既に舞台劇やテレビドラマなどになっているが、もっと多くの神戸の人々に知って欲しい」と南龍に講談化を依頼。小林部長が手持ちの多くのアーカイブの中からコミックや写真を多数ピックアップ。南龍の口演に合わせて大型スクリーン次々映像を映し、耳と目で理解してもらう展開の1時間15分に集約した。

南龍「日本経済の指南書とも言える物語」
南龍は「講談で口演するお話しを頂くまで、恥ずかしながら鈴木商店の事は詳しくは知らなかった。誕生から事業停止まではもちろん、現在も日本を代表する企業を数多く生み出した事は一般には意外に知られていない。まさに〝古きを訪ねて新しきを知る〟で、日本の未来に通じる物語であり混迷する日本経済の指南書だと思います」と話している。
神戸での公演スケジュール
神戸での公演は▽24日朝=新開地・喜楽館▽27日夜=WADAホール▽28日夜=新開地・喜楽館▽30日朝=同▽12月1日夜=WADAホール。入場料はいずれも2500円。
(畑山 博史)
