大阪で「ベスト・プロデュース賞」授賞式 TOKYO  TOWER、假屋崎省吾さんら4組受賞

 優れたプロデュース力で日本の文化・産業・芸術を発展させた人物やプロジェクトを表彰する「ベスト・プロデュース賞」(主催=一般社団法人 日本生活文化推進協議会、ベスト・プロデュース賞実行委員会)の授賞式が、11月4日、大阪市北区のザ・リッツ・カールトン大阪で行われた。

 同賞は、プロダクト、デザイン、作品、芸術、伝統文化の継承など多様な分野において、私たちの日常をより豊かにし、日本の生活文化の向上に寄与した企業・団体・個人・プロジェクトを顕彰するもの。今年で12回目を迎えた今回は、TOKYO TOWER(トーキョータワー)、デザインオフィス「nendo(ネンド)」、京舞井上流五世家元・人間国宝の井上八千代さん、華道家の假屋崎省吾さんの4組が受賞した。

 受賞理由とコメントは次のとおり。

■TOKYO TOWER

TOKYO TOWERから代表取締役社長執行役員 前田伸さん(左)、執行役員営業部長 澤田健さん(右)

 日本の首都・東京を象徴する建築物として、また多彩なライトアップ演出で人々を魅了し続ける企業としてのプロデュース力が評価された。

 授賞式には代表取締役社長執行委員の前田伸さんと執行役員営業部長の澤田健さんが出席した。前田さんは「芸術性などを含め、社会的価値として認めてもらったことが新鮮。開業から間もなく70年、さまざまな困難はあったが、今後も東京を訪れる目標となるような世界基準の観光施設としての魅力を伝えていきたい」と語った。

■nendo

nendo シニアプロデューサーの新藤翼さん(右)

 国内外で幅広い分野のデザインを手がけ、カップから飛行機、電車のデザイン、さらには2025年大阪・関西万博の日本館総合プロデュースまで担う創造力が高く評価された。

 授賞式にはシニアデザイナーの新藤翼さんが出席。新藤さんは「万博では世界中の人たちに日本の伝統、文化をどう表現できるかにチャレンジした。会場での驚きの表情や“よかった”の声で自信をもらえた。今後も日本の良さや日本的な感性を世界に発信していきたい」と述べた。

井上八千代さん(京舞井上流五世家元・人間国宝)

井上八千代さん

 春の風物詩「都をどり」の振付と指導を長年にわたり手がけ、京都の町に根づく舞の伝統を守り続けている井上さん。時代の変化のなかでも、京舞の美しさと品格を現代に伝える姿勢が評価された。

 井上さんは「コロナ禍をきっかけに伝統芸能の世界でもさまざまな気づきや変化があった。今後もあくまで京舞の伝統的な価値を失うことなく、新たな風を取り入れていきたい」と語った。

假屋崎省吾さん(フラワーアーティスト・華道家)

假屋崎省吾さん(右)

 華道家としての枠を超え、卓越した空間演出で〝花〟の新たな魅力を伝えてきたプロデュース力が評価された。テレビ番組や展覧会を通じて多くの人に花文化を広めるほか、子どもたちに生花を教える「花育」にも取り組んでいる。

 假屋崎さんは「生花は敷居が高いと思われがちだったが、今では多くの人に気軽に見てもらえるようになってきた。日本の伝統芸能や職人という存在を守り、後世に伝えていきたい」と話した。

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