「未来航路―20XX年を目指す中小企業の挑戦の旅―」7日まで開催
大阪・関西万博で、中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が出展する体験型展示「未来航路―20XX年を目指す中小企業の挑戦の旅―」の開会式が10月3日、会場内のEXPOメッセ「WASSE」South会場で行われた。展示は同日から7日までの5日間開催され、一般来場者にも公開されている。

午前10時、報道関係者向けの内覧会が始まり、続いて主催者や来賓、参加企業代表による挨拶が行われた。開会式ではテープカットや記念撮影があり、展示の見どころを巡るツアーも実施された。午前11時から一般入場が始まり、多くの来場者が次々と会場に足を踏み入れた。

今回の出展は、全国の中小企業が未来思考の製品やサービス、技術を披露し、国内外にその魅力を発信することを目的としている。展示参加企業は84社。さらに「未来社会をつくる挑戦者たち」と題し、約1,800社が未来への挑戦メッセージを寄せた。
会場全体は「航海」をモチーフに構成。出港から航海、未来への到達までを段階的にたどる演出が施され、来場者は〝未知の大海に漕ぎ出す挑戦者〟に見立てられた中小企業の姿を体感できる。

目玉となる「挑戦を巡る航海」エリアには、84社が出展。展示は「伝統の継承と革新」「精巧なモノづくり技術」「最先端デジタルテクノロジー」「自然の恵みを生かす発想」「包摂的なアイデア」の5つのテーマに分かれ、それぞれの企業が未来社会を切り拓く技術を紹介している。
【伝統の継承と革新】では、京都の岡本織物が西陣織の技法を応用した大型タペストリー「ひゅらん。」を展示。職人と若手マンガクリエイターの協業による作品は、伝統工芸と現代アートの融合の可能性を示した。岡本絵麻専務は「分業制の西陣織は多くの職人の力が結集して初めて完成する。今回の展示を通じ、伝統技術の可能性を感じてほしい」と語った。

【精巧なモノづくり技術】のエリアでは、ダイモンが月面探査車「YAOKI」を出展。来場者は月面探査を模した操作体験を楽しめる。スタッフは「失敗や課題も含め、挑戦の過程を見せることが未来の技術革新につながる」と説明した。

【最先端デジタルテクノロジー】では、人機一体の巨大人型ロボット「零式人機ver.1.3」が注目を集めた。全長約2㍍の試作機は繊細な力制御を実現し、高所作業の安全性向上や重作業の効率化を目指す。

【自然の恵みを生かす発想】では、木の実由来の新素材「カポック」を利用した軽量かつ環境負荷の少ない素材を紹介するKAPOK JAPANが出展。代表の深井喜翔氏は「木の実を使うので木を伐採する必要はなく、従来の20分の1のコストで軽くて温かいダウンが実現できる。万博を契機に世界に広めたい」と意気込みを見せた。

【包摂的なアイデア】では、Raise the Flag.が音と振動を用いた次世代感覚デバイス「SYNCREO」を披露。音と振動を変化させることで周囲の空間を認識でき、さらにAIの支援を受けて目の前の物体を識別できる仕組みを搭載。視覚障害者の買い物や移動など、日常生活から就業までの自立を支援する技術として関心を集めた。


展示の終盤には「未来への航海」と題した270度映像シアターが設けられ、来場者は未来社会をイメージした映像体験を楽しめる。さらに「未来ポート」では全国の中小企業約1,800社から寄せられたメッセージを展示し、多様な挑戦の思いを伝える。


開会のあいさつで中小企業庁の山下隆一長官は「本展示を通じて、中小企業が未来社会を形づくる挑戦者であることを世界に示したい」と述べ、中小機構の宮川正理事長も「一社一社の挑戦が重なり、未来社会の実現につながる。ここから次代への航路を描いていきたい」と力強く語った。
展示は自由に入場でき、会期中は午前10時から午後8時まで公開される。
