【脱構築】ペットの暮らしと健康に 〝愛を追求〟したものづくり plust(八尾市)

 そこに愛はあるんか?――某企業のテレビCMでお馴染みのフレーズだが、記者の地元八尾にも商品開発に愛を捧げる企業がある。ペットフード&ケア用品を展開するplustだ。2018年創業と業界では後発だが、新製品「防滑(ぼうかつ)タイルマット」は完成前から注目を集め、大阪・関西万博に出店するリボーンチャレンジ企業にも選ばれた。

 加藤優社長は、子どもの頃からものづくりが大好きで、オート二輪を組み立てるほど。大手ディーラーでエンジニアとセールスを経験したのち、いつもそばで寄り添ってくれた愛犬の体調不良に直面したことが転機となった。

 「アレルギー体質の愛犬がいよいよ皮膚も被毛も状態が芳しくなくなり、病院での治療も甲斐がなく…。困り果てていたところ愛犬の手作りごはんを紹介する1冊に出会い、試してみたら、徐々に症状が改善されて元気になったのです」と加藤社長は話した。

 愛犬の健康を守りたい気持ちが起爆剤となり、持ち前の研究心に火が付いた加藤社長は、アレルギーについて独学。同時に独立を視野に入れつつ、各地のペットフード工場を視察した。「どの工場もちゃんと法定を遵守していた」ものの、家族同様である愛犬の食事を作る環境としては納得できず、「人間と同じ基準」や「トレーサビリティ」にこだわって自ら開発を決意。こうして誕生したドライフード「きらきら」「もりもり」は、今や全国600社以上のドッグサロンに広がり「売れ筋の看板商品」となった。製造工程で出る粉末は動物園などに提供するアップサイクル活動にも取り組み、フードロスは許さない姿勢だ。

 その後も口腔ケア用品、シャンプー・リンスを開発。最新商品の「防滑タイルマット」は、フローリング材などで踏ん張りがきかなくなった愛犬の足腰をサポートする新素材マットで、実用新案として登録されている。食器の下に敷くと安定した姿勢で食事に集中できるため飼い主からは「よく食べるようになった」「歩く自信を取り戻し、元気になった」といった声が寄せられている。

 製品ブランド名「PURSUIT OF LOVE(パシュート・オブ・ラブ)」は訳すと「愛の追求」。ペットの幸福を左右するのは飼い主との絆であり、その根底にある愛を惜しみなく注いだ結晶が各商品だとする、加藤社長の想いを実直に訴求したネーミングに愛犬家は心を掴まれる。「望むのはただただワンちゃんの健康です」と笑顔を見せる加藤社長の今後の活躍も楽しみだ。
(西村由起子)

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