これはアート?デザイン? 投票しながら鑑賞 考える展示会

日比野克彦「PANTS」(1981年)
日比野克彦「PANTS」(1981年)

 大阪中之島美術館(大阪市北区)は活動の両輪とするアートとデザインについて考える展示会「デザインに恋したアート?アートに嫉妬したデザイン」を行っている。来館者は各作品をアートかデザインか、投票しながら鑑賞するユニークな企画となっている。6月18日まで。

 開館1周年記念展の一つで、4階展示室で実施。1950年代から2010年代まで、“デザイン”という言葉が身近なものとなった戦後から半世紀以上の間に生み出された約110作品が並んでいる。

名和晃平「PixCell-Sheep」(2002年)
名和晃平「PixCell-Sheep」(2002年)

 出品作家は会田誠、イサム・ノグチ、亀倉雄策、河原温、草間彌生、倉俣史朗、剣持勇、佐藤可士和、田中一光、永井一正、藪内佐斗司、奈良美智、名和晃平、早川良雄、日比野克彦、三宅一生、宮島達男、村上隆、元永定正、森村泰昌、柳宗理、ヤノベケンジ、横尾忠則の各氏ら約70人。

 作品の近くには、アートかデザインか、各鑑賞者の視点で投票できるデバイスを設置。完全にアートだと思うならアートの方へ、どっちつかずなら中央へ、などスライドボタンを動かして決定ボタンを押す。展示の最後に、投票結果を表示している。

アートかデザインか投票できるデバイス
アートかデザインか投票できるデバイス

 館長の菅谷富夫さんは、アートとデザインを活動の柱とすることが約40年前の美術館開設の構想段階から決まっていたことを踏まえ、「どれがアートでどれがデザインか、境界があるのかないのか、なかなか難しくて自答してきた。両方やっていくという宿命を背負って、『これからもやっていくぞ』という記念展」と力を込める。

 担当学芸員の植木啓子さんは「アートとデザインを考える方法として、実物の作例を示しお客さんに体感していただくのが美術館らしい。一点一点平等に主役で、またお客さん一人一人が主役になれるような展覧会をつくった」といい、「作品を巡る小旅行の控えめなコンシェルジュ」という立ち位置で、来館者を迎えている。

 午前10時~午後5時(入場は4時半まで)、月曜休館(祝日の場合は翌平日)。問い合わせは電話06(4301)7285、なにわコール。