ウィズコロナ社会 今春から本格化へ 経済の活性化に歓迎も「5類」変更に戸惑い


▲JR大阪駅前の通行人=大阪市北区

 〝ウィズコロナ時代〟を迎え、コロナ禍は日常へと変わりつつある。岸田文雄首相は1月20日、今春にも新型コロナ感染症の規制を「2類相当」から、季節性インフルエンザと同等の「5類感染症」に見直す方針を表明した。吉村洋文知事も「コロナと共存する社会を実現するために必要」と政府方針を歓迎した。一方で「5類」に見直されることによるデメリットも指摘される。「2類」から「5類」で、私たちの生活はどのように変わるのかをまとめてみた。

医療費、一部自己負担に

 2類相当の現在は、新型コロナ感染者に対して都道府県知事が入院を勧告できる。勧告とは、行政機関が相手の協力や同意を得て、その意思を実現しようとする行為。このため、入院費や薬代など医療費はすべて公費でまかなわれているが、5類に変われば一部自己負担になる可能性がありそうだ。また、ワクチン無料接種も現在は全額公費、無料で接種できるが、同じように自己負担になる可能性もある。

 ただ、政府は公費負担の一部を特例的に継続するなど対応策を検討していく方針だが、「〝受診控え〟につながる」と懸念する声も上がっている。

 また、感染者の就業制限の規定(厚労省が定める期間は就業してはならない)や、外出自粛(自宅、ホテルなどでの待機)の制限についてはなくなる。

屋内でのマスク不要へ

 マスク着用や3密(密集、密接、密閉)の回避は、法律の規定ではなく、政府や自治体がまん延防止のため、協力を要請してきた。すでにマスクの着用は、屋外では原則不要となっている。今後は、屋内での着用についても発熱・高齢者・基礎疾患のある人へは求めるが、原則不要とする方向で調整中だ。ただ、マスク生活も3年にも及んでいるので戸惑いや不安を覚える人も多いことが予想される。

医療機関の受診拒否も

 現在、新型コロナを診療する医療機関は限定されている。症状がある場合、発熱外来などを受診する必要があり、入院患者を受け入れる病院も限られている。

 5類になれば、すべての医療機関で受診や入院できるようになるが、一気にすべての医療機関が対応するとは限らない。これまではコロナ病床への補助金もあったが、廃止されコロナ患者の受け入れリスクを考えれば、「受診態勢が整っていない」と断るケースも出てきそうだ。

 政府は今後の感染状況や変異株の動向を慎重に見極める必要があり、難しい判断をくだすことになる。