人手不足、3年連続で3割超
大阪シティ信用金庫はこのほど、大阪府内の中小企業を対象に、人手不足の実態や採用の課題について調査を実施した。
「人手が不足している」と答えた企業が全体の30・6%にのぼり、3年連続で3割を超えた。とくに建設業(40・6%)や運輸・通信業(40・0%)では高い水準が続いている。
背景には「売上や受注が増えた」(51・3%)、「退職者の補充ができていない」(42・7%)など、人件費の上昇が負担となって新規雇用に慎重な企業も多いとみられる。
「容易に採用できる」はわずか5%
人手不足と回答した企業に、実際の採用状況を尋ねたところ、「希望する人材を容易に確保できる」と答えたのはわずか5・2%。一方で「時間がかかる」(60・1%)、「かなり困難」(34・7%)と、94・8%が〝求人難〟と感じていることがわかった。
その理由として最も多かったのは、「そもそも応募者が少ない」(64・2%)。「人材要件との乖離(ミスマッチ)」(61・7%)、「待遇面での条件不一致」(37・2%)なども上位に並んだ。業種別では製造業や建設業で、スキルや資格を求められる職種ほどミスマッチの声が目立った。
求人方法では、「ハローワーク」が35・0%で最多。「求人サイト」(31・9%)、「紹介・斡旋」(25・1%)も一定の活用が見られたが、SNSや紙媒体などは1割未満にとどまった。
賃上げや待遇改善で対応
人手確保のための施策として「賃金の引き上げ」を挙げた企業は60・0%に上り、待遇面での競争も激しさを増している。「労働環境の整備」(39・6%)、「福利厚生の充実」(34・6%)なども上位に並んだ。
高齢者を雇用している企業は39・5%と約4割を占めるのに対し、外国人を雇用しているのは14・9%にとどまった。人材の多様化が叫ばれる中でも、実際の導入には差があるのが実情だ。
調査は今年7月上旬、大阪シティ信用金庫が府内の取引先企業を対象に実施。聞き取り法で行われ、1,261社から有効回答(有効回答率90・1%)を得た。