大阪府立高入試特集 偏差値60超〝2番手校〟志望者こそ、英検2級を活用すべし

 高校入試において、「英検2級取得」が志望校合格のための武器として活用されていることをご存じの保護者も多いだろう。英検2級を取得すると、英語の試験で読み替え率80%(72点)の得点に換算でき、当日の入試点数と比較して高い方を得点として採用できる、という制度だ。ただ、その状況も年々少しずつ変化しつつある。文理学科が設置されているトップ10校を目指す人にとっては、もはや「英検2級」では安心できないらしい。むしろトップ10校以外でC問題を採用している難関校を志望する生徒の中で、英検2級活用が広がりつつある。

英語C問題を採用する府立高(2025年度)
C問題採用校参考:令和7年度 大阪府公立高等学校等アドミッションポリシー(求める生徒像)並びに学力検査問題の種類並びに学力検査の成績及び調査書の評定にかける倍率のタイプ(大阪府教委)
出願倍率:令和6年度大阪府公立高等学校一般入学者選抜(全日制の課程)の志願者数(令和6年3月6日午後2時(締切数)) ※1.2倍以上は★

 「トップ10校を目指す生徒にとっては、2級取得レベルにまで英語力を上げるのは当然。C問題も易化しつつあってか、むしろ当日の試験の点数が8割を超える人も多い」と開成教育グループの上席専門研究員、藤山正彦さんは話す。トップ校は競争が年々激化し、どの教科も満点を目指せるほどの実力がないと倍率で負けてしまう。「保険」として取得する流れは変わらないものの、当日でより高得点を出す必要があり気が抜けない、という状況になっている。

ハイレベル校と私立校受験生は英検マスト

 一方、トップ10校の次に来る、偏差値60以上とハイレベルな 〝2番手校〟を目指す受験生にとってはフル活用しない手はない。2025年度入試では、トップ10校以外に加えて9校が英語にC問題を採用すると発表しており、出願倍率1・2倍を超える人気校も多い。そういった高校を目指す人にとっては、他教科の勉強に集中するために事前に取得しておくことがプラスに働くだろう。なお、準1級を取得すれば読み替え率100%、90点満点となる。
 私立校でも英検を入試に活用できる学校は多い。多くの高校では、府立校と同じように換算した点数と入試の英語得点を比較し、いずれか高い方を英語の得点とする形式を採用している。例えば大阪薫英女学院高校(摂津市)では、英検2級以上であれば90%の得点が保障される(25年度入試要項)。私立併願対策にも英検は活用できる。

英検試験が「実用」重視に

 そんな英検だが、従来の学習方法のままだと対策不足になりそうだ。英検協会は2024年度第1回検定から、3級以上の級(1級、準1級、2級、準2級、3級)について一部の出題形式をリニューアル。知識や技能の習得だけでなく、コミュニケーションを行う目的や場面、状況などに応じた言語の運用を基本に思考力・判断力・表現力などを測れるような出題形式を取り入れる。具体的には、「リーディング」「ライティング」「リスニング」「スピーキング」の4項目のうち、「リーディング」の問題数が大幅に減る。準1級であれば41問から31問と10問も減少する。その代わり、「ライティング」である英作文の問題数が増え、2級以上になると意見論述の出題に加えて内容の「要約」問題が出題される。
 ライティング対策のポイントとして、「ペンギン英会話スクール本校」(北区大淀中)の受験担当者は、「一見かなり難しく感じるが、少し対策すればきちんと高得点が狙える。ただ、英語力以前に『何をどう書いたらいいか』がまず思いつかず手が止まる、という人が多い印象。英単語や英文法を学ぶより前に、母語である日本語のままでいいので、まず社会のあらゆるトピックを知り、それに対する自分の意見を持ち言葉にする練習が必要」と話す。
 英検を受験準備に活用するという観点もある。英語C問題では筆記が30分なのに対してリスニングが25分。さらに配点は、A・B問題は約20%だがC問題は約33%と高い。「リスニングに強くなるためにも、早めに英検で親しんでおくといいだろう」と藤山さんは話す。