空き家問題を考える 松本明子さんら〝家じまい〟を赤裸々に

 全国の空き家情報を集約したデータベースを提供する空き家活用(東京都港区)が7月26日、「アキカツ会議2024」と題した空き家問題セミナーを神戸朝日ホールで開催。自治体や市民、事業者など181人が参加した。元NHKのアナウンサー堀潤さん、女優の黒谷友香さん、女優で歌手の松本明子さんらが特別ゲストとして登場。6部構成で朝から夕方まで繰り広げられた。

「二拠点生活」について話す堀潤さん(左)、黒谷友香さん(中央)
「二拠点生活」について話す堀潤さん(左)、黒谷友香さん(中央)

 1部では、国土交通省の石井秀明氏、神戸市職員による特措法改正についての解説や、神戸市職員の根岸芳之氏が空き家の取り組みを紹介した。
 2部は(一社)全国空き家アドバイザー協議会(東京都千代田区)井上幸一氏氏と、あいおいニッセイ同和損害保険(同渋谷区)武下大祐氏が空き家対策の官民モデルについて講演した。
 3部では宝島社(同千代田区)「田舎暮らしの本」柳順一編集長が消滅可能都市の逆の発想、「人流可能性都市」を提唱するなどした。

二拠点暮らしに必要なこと

 4部では、堀潤さん、黒谷友香さんが「二拠点生活」について特別セッション。黒谷さんは20年以上前から多拠点で生活を送っており、堀さんも二拠点で暮らしている。二人は経験から「移住を検討する際に医療機関や公共サービス、店舗情報など事前に調べておくほうが良い」とアドバイスしたり、住民との関わり方について話したりした。
 5部では、宿泊先を提供する人と、宿泊したい人のマッチングサイト「エアビーアンドビー」(Airbnb Japan=同新宿区)と、同サイトを利用して民泊を展開する万里一空(高松市)による対談が行われた。エアビーアンドビーの谷口紀泰氏は、高齢化、人口減少が続く長野県飯田市で、行政や町民と連携を図り、空き家を民泊に活用して見事、外国人や若者が観光する村として発展させた事例を発表。
 谷口氏は「住民にとって当たり前の日常生活が、実は宿泊者にとって魅力的である」と強調していた。
 一方、万里一空の松岡敬三氏は、高松市の郊外や、さぬき市で空き家を活用し、高単価、高稼働で運営している理由について紹介。「いかに住民に好いてもらうかが重要であるため、クレームに細心の注意を図ったり住民を雇用したりして関係性を築いている」(松岡社長)。

空き家に1800万円費やす

 最終部では、「実家じまい、しくじりました~1800万円の衝撃~」のタイトルで松本明子さんが登壇。松本さんの父親が1972年、3000万円をかけて香川県高松市に自宅を建てたが、同居をすることになったため、手放すまでの25年間、実家は空き家となっていた。松本さんは「『実家を頼む』と言い残して父親が他界したことから、長年手放せなかった」と話す。
 このため、固定資産税や火災保険、手入れなど年間40万円が掛かり、いつか戻ろうと2回リフォームし、掛かった費用は600万円。諸々合わせて1800万円を費やした。
 「実家の整理は自分自身で行いたいと思い、費用を抑えるため健康ランドに泊まり込んで片付けを行った」と松本さん。空き家バンクを通じて、600万円で売却したという。
 セッションをしていた主催者である空き家活用の和田貴充社長は「当社や空き家に特化した事業者、民泊運営者など知っていれば高値で売却できたかもしれない。そういった意味で情報共有は非常に重要だ」と締めくくった。