大切な人へ「漢字」をプレゼント

漢検協会主催「第11回 今、あなたに贈りたい漢字コンテスト」表彰式を実施

 日本漢字能力検定協会主催で「第11回 今、あなたに贈りたい漢字コンテスト」が実施され、3月20日に表彰式が行われた。今回は5万1825通の応募があり、5~92歳まで老若男女がコンテストに参加した。応募の内容としては、伝えたい気持ちを表す「贈りたい漢字」一文字と、それにメッセージ120字以内を添えるというもの。

 同コンテストがスタートしたきっかけは2011年に起こった東日本大震災。同年の「今年の漢字」第1位に「絆」が選ばれたことから、それを記念して、13年からコンテストがスタートした。
審査員長に橋本五郎さん(読売新聞特別編集委員)を迎え、各界の著名人が審査員として名を連ねる。今回からはWBC監督として2023年WBC侍ジャパン監督・栗山英樹さんも審査員に加わった(表彰式当日は欠席)。

受賞者・審査員集合写真
審査員長・橋本五郎さん

 表彰式は漢検 漢字博物館・図書館(漢字ミュージアム)で行われた。橋本さんは全体の講評で、「5万人以上の人が誰かを思いながらじっと考えて優しい気持ちを持ったこと、それはかけがえのないことで、その心を忘れなければ、いま世界中で起きている争いはなくなるのに、と感じました。どうか参加された方にはこれを機に、いろんな本を読む機会を通して新しい漢字と出会うことを大切にしてほしいです」と語った。

大学生・一般部門 受賞者(左)、審査員・ゴルゴ松本さん(右)

 同じく審査員のお笑いタレント・ゴルゴ松本さんは「毎年、応募作品を読むのが楽しみで、今年もたくさん楽しませていただきました。漢字は大化の改新から使い続けてきた芸術作品。そう考えると、お祝いに漢字を贈るのもいいですね」と話した。

受賞作品はミュージアム内で展示も行われた

 また、別日には団体賞を受賞した関西創価小学校(枚方市)でも表彰式が行われた。枚方市が「漢字のまち枚方」としてコンクールなどの取り組みを行うのにあわせて、同校でも漢字教育に力を入れている。枚方市主催の「漢字をテーマに思いを伝える作文コンクール」へも参加し、漢字検定受検も積極的に行っているという。
 当日は学校代表として山下優子さん(当時=小学6年生)、また入選した柏原優衣さん(同=小学6年生)、荻田直樹さん(同=小学3年生)が参加した。

山下優子さん
柏原優衣さん
荻田直樹さん

 応募するにあたって、山下さんは「何を書きたいか、という思いは決まっていたけれど、その思いにぴったり合う漢字を調べる作業が大変でした。漢字一文字に気持ちが全部込められるように、一人一人への感謝の気持ちを思い浮かべながら書きました」、柏原さんは「文章を書くのが大変だったので、お父さんにも協力してもらいながら書きあげました。難しい漢字だったけど、どうしても書きたかった『憧』という漢字が書けてうれしかったです」、荻田さんは「人ってすごいなあ、という思いを込めて書きました。人はいつ何をするかというのを調べて、一人でやり切りました」とそれぞれ応募の感想を述べた。

 副校長の鈴木冨三江さんは、「漢字は日本人にとって、ことばの基礎、基本です。ICT化が進む中で『覚えなくてもいいのではないか』と考える人も増えたかもしれませんが、漢字を通じてことばの深い意味を知ることが今大切だと感じます」と話した。
 第12回の募集は6月1日から開始。全国から応募可能で、WEBもしくは郵送での応募になる。詳細は漢検協会HPまで。

<取材協力>日本漢字能力検定協会/京都市東山区祇園町南側551番地/電話(075)757-8600
https://www.kanken.or.jp/