「〝よろこぶ〟年になりますように」昆布の扇に込める新年への願い

結び目が口と十で願い事が「叶」う昆布細工。味噌汁物などに浮かべていただく

 北区にある「天満大阪昆布」の代表取締役の喜多條清光(きたじょうきよみつ)さんは、水に浸すだけでおいしい昆布水を作ることができる「昆布革命」を創案。
 事業のかたわら、昆布菓子の再興や新しい昆布レシピの提唱など、日々昆布文化の継承に尽力している。トレードマークの赤いエプロンを翻(ひるがえ)し、日本の食を支える昆布文化の大切さを講演して全国を回っている。喜多條さんは、縁起物の昆布細工の再現にも力を入れている。新年を迎えるにあたってハレの日に飾る縁起物の細工昆布について教えてもらった。

 昆布は「よろこぶ」という語呂合わせと子宝に恵まれることを願って「子生婦(こんぶ)」と当て字されることがある、慶事にゆかりのある食材。祀(まつ)り事やハレの日に神前に供えられ、庶民の間でもおめでたい行事のお披露目の際にも欠かせないものとなった。天満大阪昆布が復元した扇の昆布細工は、古式にのっとった扇の縁起物。広がる扇をかたどって、末永く子々孫々まで続く繁栄の願いが込められている。扇だけのものは見かけることもあるが、支えとなる昆布を巻いた柱を添えるのが大阪流だ。

 お正月にこの昆布の縁起物を飾り、朝一番におぶくちゃ(『大福茶』、一年の無病息災を祈って元旦に頂く縁起の良いお茶のこと)をいただく。おぶくちゃに入れるのは「結び昆布」と赤い小梅。昆布はよろこびを結び、梅はめでたさを表している。

 取材の最後に喜多條さんは「コロナ禍によって、誰もが内側へ身をすくめていた4年間でした。けれども見方を変えれば自分の内側、日本の内側を見つめ直した期間でもありました。その気付きをたずさえて再び世界に躍進していく年になるように、昆布の扇に願いを込めました」と語り、「失われた4年間にしないために」と言葉を結んだ。

柔らかくしてから細く切り一つ一つ手作業で結ぶ
赤いエプロン姿を天神橋商店街で見かけることも
2つそろって「あ・うん」の一対

天満大阪昆布/大阪市北区天神橋1丁目13−8/電話(0120)141528