
木目調のカウンターを囲み、多くの客が肩を並べる。グラスを片手に挨拶を交わすと、初対面同士でも自然と会話が始まるーー。
そんな光景が広がるのは、7月7日に大阪市北区曽根崎新地にオープンしたスタンディングバー「awabar Osaka」。客の約7割が経営者という、少し変わったバーだ。起業家や投資家、大企業社員、学生らが立場や年齢を超えて交流できる場として、オープン直後から多くの人でにぎわっている。
東京との〝環境の差〟埋める場を
awabarは東京・六本木に本店を構え、17年の歴史を持つ。IT系の経営者を中心に、起業家や投資家、上場企業、中小企業などさまざまな人が集まり、交流から企業間の連携なども生まれてきた。
大阪店のオーナーを務める濵優輝さんは、かつてIT系企業で働く傍ら、夜は六本木店でスタッフとして働いていた。東京と大阪を行き来する中で感じたのが、情報や人とのつながりが生まれるスピードの違いだったという。
「東京は何もかもが早い」と濵さん。その背景には、起業家や投資家らが自然と集まり、必要な人とつながる機会の多さがあるとみる。六本木店で働く中で、こうした〝場〟が情報や人をつなぐ役割を果たしていることを実感。大阪にも同様の環境が必要だと考え、出張者も集まりやすい北新地に新たな拠点を構えた。
経営者スタッフが橋渡し
人と人をつなぐ役割を担うのが、店に立つスタッフだ。曜日ごとの固定制で、スタッフの多くが自身も経営者。来店者の話を聞き、相性の良さそうな人を紹介するなど交流を後押しする。また、第一線で活躍する経営者らを招く「一日店長」などのイベントも開催し、普段は接点のない人同士が交流する機会をつくる。

こうした交流から、ビジネスにつながる動きも出始めている。店内で偶然居合わせた人同士の会話から、システム開発の商談に発展しそうなケースも出ているという。
来店者からも、交流の場としての手応えが聞かれた。この日、知人に連れられて初めて訪れた学生起業家の三上透輝さん(20)は「起業家と実際に飲みながら話すことで、迷っていたことについてアドバイスをもらえたり、頭の中をのぞかせてもらえたりして視座が高まった」と振り返った。
この日来店していた経営者の安井元汰さん(25)は「普通のバーでは出会えない人とフラットに話すことができる。ビジネスの前に人と人との付き合いがある。酒の場だからこそ、その人のことを知れる」と魅力を語る。
濵さんが目指すのは、起業に限らず、何かに挑戦したい人が気軽に相談でき、必要な人とつながれる場所だ。「挑戦したいと思っても、どこに相談したらいいか分からない人もいる。ここをそんな人たちの相談先にして、挑戦する人をもっと大阪に増やしたい」と意気込む。
(文=西山美沙希)

