万博遺産「静けさの森」新たな一歩、「静けさの森 共鳴機構」始動

左から宮田裕章氏、横山英幸市長、藤本壮介氏、忽那裕樹氏

 13日に閉幕した大阪・関西万博。多くの建築物が解体される一方、会場中央の緑地「静けさの森」は会期後も植栽を残す方針が示されている。

万博会場「静けさの森」存続へ

 8日に会場内スタジオで開かれた公式プログラム「共鳴と森―突き破る塔(1970)から開かれる空(2025)へ」では、テーマ事業プロデューサーの宮田裕章氏、会場デザインを手がけた建築家の藤本壮介氏、「静けさの森」のランドスケープデザインを担当した忽那裕樹氏、「Better Co-Being」エリアの建築を担った建築ユニットSANAA(妹島和世氏・西沢立衛氏)らに加え、大阪市の横山英幸市長も登壇。万博の成果や思い、今後の構想を語った。

 存続の経緯について、忽那氏は「最初は更地に戻すという話もあった。『木を植えて切ったら命が輝かない』と、宮田さんと一緒に籠城も視野に粘りました」と、万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」になぞらえ当時のやりとりを明かした。

 横山市長は「これまでの日本の都市づくりは機能性を重視してきたが、これからは人の感性や自然との共鳴を大切にするまちづくりが必要」と述べ、「まさにこの〝静けさの森〟のような場所を都心の中でもどう作っていくのか今後も考えていきたい」と語った。

 また、宮田氏と藤本氏は今後、森の理念を博覧会後も継承・発展させるため、新組織「静けさの森 共鳴機構(FoR=Forest of Resonance)」を設立。生態系保全や文化芸術、教育、国際連携などの分野で活動を展開し、「人と自然、地域と世界が共鳴する仕組みづくり」を進めると発表した。

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