誰にでも訪れる、家族との別れの時。突然の知らせに動揺しながら、葬儀の準備を進めなければならない現実は、想像以上に重い。そんな中、遺族の負担を少しでも減らすために始まったのが、大阪・鶴見区にある三法社の「故人お預かりサービス」だ。筆者自身の体験を踏まえ、その背景と仕組みを取材した。
家族との別れの瞬間を、真剣に考えたことがあるだろうか。考えたくないが、その日はいつか必ず訪れる。筆者にも、その日は突然やってきた。連絡を受けて急いで病院へ向かうと、悲しむ間もなく「葬儀会社は決まっていますか」と声をかけられ、準備がないことを伝えると、葬儀会社の名前と連絡先だけが並んだ一枚の紙を手渡された。それは金額もサービス内容も書かれていない、簡素な紙だった。押しつぶされそうな悲しみの中で、急いで葬儀会社を決めなければならない辛さ。「最後の親孝行として、ちゃんと葬儀をしてあげたい」という思い。そして、費用面での不安。余裕のない精神状態の中で決断を迫られたその重たい経験は今も色濃く残っている。
そんな折、鶴見区の三法社が「故人お預かりサービス」を始めたと聞き、詳しく聞きたく、取材を申し込んだ。私自身が直面した体験から、もっと遺族に寄り添う仕組みがあればいいのにと、ずっと感じていたからだ。最初にサービスの意図を尋ねると、「もう少し選ぶ時間があれば」という多くの声に共感したことがきっかけだったという。病院で亡くなると、葬儀社を短時間で決めざるを得ない。その結果、費用が想定以上だったり、プラン内容の認識にズレがあったり、最後の別れ方に後悔する人は少なくないそうだ。

同社の「故人お預かりサービス」を利用すれば、二日間はゆっくりと葬儀社を選ぶ時間が持てる。もちろん、「考慮した結果、三法社以外の葬儀社を選んでも全く問題ない」という。料金は3万7400円からで、同社で葬儀を行う場合は預かり金が無料となる。対象は鶴見区近隣に在住や入院中だった人で、依頼できるのは親族に限られる。また、故人のお迎えは病院や老人ホームなどの施設のみの対応となる。取材に応じてくれた山田さんは「葬儀会社は、2社以上で話を聞いて見積もりをとって比較するのが良い」と話す。「本当は事前に相談してもらうのが一番いいのですが、元気なうちはなかなかされませんからね」とも付け加えた。確かに、葬儀のことは実際に経験して、その大切さに気づく。それにしても、良心的で親切なサービスではないだろうか。
■株式会社三法社/大阪市鶴見区横堤4丁目12番15号/電話0120(042)242
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