【外から見た日本】正社員にも起業家マインドが必要?

Spyce Media LLC 代表 岡野 健将

 Twitterを買収したイーロン・マスク氏が、次々と社員を解雇しています。日本のTwitter社に勤務していた人も解雇されているので、遠い外国の話ではなく、日本での話でもありますが、みなさんはどう感じていますか?

 アメリカでは、企業は頻繁に社員を解雇します。社員個人の場合だけでなく、部署ごと、部門ごと、支社ごと、工場ごとなどあらゆる形で解雇される可能性があります。正社員として就職しても、その企業にいつまでも居続けようと思っている人は少なく、いつか転職したり、起業しようと思っています。中には社会人としての経験を積んでから改めて大学や大学院へ戻ってもう一ランク上の立場での仕事を求める人もいます。

 新社会人になるときに、履歴書や面接で如何(いか)に自分を売り込むか。新卒同期入社で、同じ部署に配属されても給料の額はさまざま。同一労働同一賃金という不平等な仕組みではなく、給料は各自の能力やそれまでの経験、卒業した大学などを基準に提示されるのです。

 就職しても、今度は職場で経験を積み、企業の利益に貢献する事で社内での評価を得ていきますが、日本の様に横一線での定期昇給ではなく、実力のある人、実績を挙げた人はその分だけ受け取る金額も高くなります。

 また、同時に社外に個人的なネットワークを構築したり、資格を取得したり、本業とは違うスキルやノウハウを習得して、個人としての価値や能力を高める努力もしています。 多くの人は同じ役職で3年くらいいると、会社が自分を評価していないと捉え、給料や待遇が今より良くなる事を前提に、より高く自分を買ってくれる会社へ転職しようと考えます。

 その企業内でしか通用しないスキルや経験ではなく、どこの企業にいっても通用する能力を得ていれば可能なのです。

 この様に正社員であっても、目の前の与えられた仕事をこなすだけでなく、個人の努力で自分の能力を高めたり社外の繋(つな)がりを構築しておく事で、来るべき「動くタイミング」でより良いポジションに移行してけるのです。まさに起業家の様に常に自分の価値を高め、チャンスを狙っている訳です。

 日本でも将来を不安に感じる前に、こういう準備をしておく必要があるのではないでしょうか?


【プロフィル】 State University of New York @Binghamton卒業。経営学専攻。ニューヨーク市でメディア業界に就職。その後現地にて起業。「世界まるみえ」や「情熱大陸」、「ブロードキャスター」、「全米オープンテニス中継」などの番組製作に携わる。帰国後、Discovery ChannelやCNA等のアジアの放送局と番組製作。経産省や大阪市等でセミナー講師を担当。文化庁や観光庁のクールジャパン系プロジェクトでもプロデューサーとして活動。