現代社会は、技術革新や制度の急速な変化によって、私たちに絶えず適応する力を求め続けている。社会のありようが変わる中、発達特性やそれぞれの個性と社会とのズレに悩み「いきづらさ」やストレスを抱える人は多いだろう。自分らしく生きる道を模索する取り組みを紹介する。
ねやがわABC会は寝屋川市の池田一号公園(ABC公園)で、毎週水、金、日曜日の午前中、一緒に遊ぶ活動。対象は主に今の40~50代の就職氷河期世代の大人や不登校や引きこもり状態にある親と子など。途中参加もでき、参加無料。午前9時からオンラインで語る会をした後、ボクササイズやボール遊び、公園の遊具で遊んだり。内容は当日の参加者の話しあいで決める。ねやがわABC会の特徴は「話すだけ」「そこにいるだけ」「聞くだけ」でも歓迎されるという“ゆるさ”にある。
主催者は寝屋川市在住の「うぃ」さん。現在43歳で、就学期から親や社会からの「抑圧」を受けてきた就職氷河期後期の世代にあたる。ひきこもりも経験する中で、自分を解放する方法を現在進行形で実践し続けている。開放的なコミュニケーション力に長けているうぃさんならではの経験を生かして、会う人との対話から行動することで悩みやストレスと向き合っていく。
不登校支援に「大人の無理解」という視点から教育を考え、学び「大人が楽しむ」をコンセプトにした団体、「トーキョーコーヒー寝屋川」のメンバーとの共同開催した取り組みだ。
同会は昨年11月から始めて1月10日に19回目を迎えたばかり。参加者からは「ただ遊んだり走ったり・・・身体を動かすのが楽しくて。大人になり、親の立場になって自分を解放したり、自分を大切にすることを忘れていたのかも」といった声も。参加することから交流や繋がりが少しずつ生まれていく。
うぃさんには苦い経験がある。20代でひきこもりはじめの頃、親に連れられ、心理カウンセラーへの相談の場で「傾聴」のカウンセラーテクニックを受けた時のことだ。担当した若いカウンセラーは質問しても答えてくれず、うなずいているだけだったそうだ。「自分からSOSのつもりで質問をしても相手はまともなアドバイスをすることもなくただ『フンフン』と聴くだけ。それならロボットでええやん、自分には全然合わなかった」と当時を振り返る。
うぃさんは「ABC会はまずもって”自分のため”の会です。対話を通じた実践でまずは自分が楽になれたらと思って活動しているので、何かを押し付けたりしません。オープンマインドでいきましょう」と参加を呼び掛けている。
午前9時から9時半頃まで行うZOOMを使ったオンラインの「語る会」では、教育、福祉、介護など分野を超え、専門家や実践家、生きづらさを抱える当事者とその家族も参加しているネットワーク「ユニバーサル推進委員会」のメンバーも参加している。学んだ後はしっかり身体を動かして遊ぶ。当日参加可能。語る会に参加する場合は、メールでpsyences_0213@yahoo.co.jp(うぃさん)へ。
■ねやがわABC会