鳥取県米子市出身の演歌歌手、朝花美穂(26)が12月に9作目のシングルCD「銀のかんざし」を出した。デビューから7年目に入り、今作は師匠の作曲家・宮下健治の曲に〝昭和のヒットメーカー〟もず唱平(86)が「演歌の申し子」朝花のために3年連続で書き下ろした薄幸な遊女をテーマにした3部作の完結編といえる。このほど開かれた「KOBE発流行歌ライブ」でも3作すべてを披露し盛んな拍手を受けた。
朝花は舞台に現れるとまず挨拶と共に地元鳥取のPRから。「私の生まれ故郷は大山の豊かな大自然を臨み、実家から少し行けば鬼太郎ロード。県内には有名な鳥取砂丘や倉吉白壁土蔵群があります」と目を輝かせて説明。
3部作は恋する大人の女が主人公だけに張りのある大人の歌声で魅了。トークになると実年齢らしい軽やかでかわいい話し方に転じ、客席はその落差に思わず笑み。10代の頃から大衆演劇が大好きでそのメッカ京阪神は通い慣れた地。この日も生き別れの母を探す侠客〝番場の忠太郎〟が主人公の「瞼の母」(1954年・二葉百合子)を情緒タップリに〝浪曲歌謡〟として身ぶり手ぶりで演じ、場内からは掛け声が掛かる熱演。
終演後話しを聞くと「一昨年に『しゃくなげ峠』を初めて頂いた時は、自分が経験したことの無い世界感で難しかった。でも先生方に〝恋の歌だから、キュンキュンしながら歌いなさい〟とアドバイスを頂き、ようやくこなせるようになりました」と振り返り。先日、米子市でNHKのテレビ収録などがあり久しぶりに帰郷。「会場に友達が来てくれたり、撮影で夢みなとタワーまで行ったりと楽しかった。やはり戻ると元気になれます」と笑顔に。
2024年を総括して「挑戦の年でした。テレビ番組に数多く出していただきさまざまなカバー曲を歌い勉強になりました」と話し、新たな年の課題として「でもカバー曲は物まねではないので上手に歌えるだけではダメ。やはり私らしく歌えるようにより一層表現力を磨きたい」と決意を込めた。
(畑山 博史)