訪日客数、過去最高に 旅行消費額もすでに昨年上回る 訪日客「大阪ベスト20」は?

 観光庁はこのほど、今年1~9月の訪日外国人客数が2688万人となり、昨年1年間の累計2506万人を上回ったと発表した。旅行消費額も1~9月で5兆8千億円となり、過去最高だった昨年1年間(5兆3千億円)をすでに超えた。道頓堀などに足を運べば、その状況を肌で感じることができる。大阪の訪日客の現状について取材した。

訪日客でごった返す人気観光地の道頓堀
訪日客でごった返す人気観光地の道頓堀

訪日客数が昨年超え 道頓堀、大阪城、USJが人気

 外国人であふれるキタやミナミの状況からも分かるように、今年9月時点の訪日外国人客数が昨年を超えた。日本政府観光局(JNTO)が統計を取り始めた1964年以降、コロナ禍前の2019年が最も多かったが、それを上回る可能性が出てきた。

訪日外国人旅行者数の推移
※「日本政府観光局(JNTO)の訪日外国人旅行者数」をもとに本紙で作成

 訪日客増加の要因は円安だけではない。新型コロナウイルスの影響で運休になっていた路線が今年9月から再開し、新たに就航したことが増加の要因と見られる。関西では関西国際空港と5都市との増便・復便や新規就航が開始された。
 訪日客数を国別順で見ると、韓国646万8600人、中国524万7500人、台湾458万5800人、香港197万2000人、米国196万100人だった。

関西国際空港 海外便の新規就航と増便・復便

●青島航空が初就航(7月)
●無錫線を新規就航(7月)
●夏限定のトロント直行便(6月)
●シドニー間 復便(4月)
●台北(桃園)間 増便
●マニラ間 増便
●イスタンブール間 増便

 一方、伸び率を23年と比べると、中国が228・4%と最も高く、次いでロシアが136・1%増、メキシコ69・3%となり、減少した国・地域は見られなかった。
 このうち、関西への外国人入国者数は23年6月時点で458万7919人、昨年は655万497人、19年は841万6368人だった。
 彼ら外国人客はどこを訪れているのか。大阪観光局が行った「訪日外国人旅行者の動向把握に向けた関西空港出口調査23年度10月版」によると大阪府86%、京都府58%、東京都22%、奈良県20%、兵庫県11%と、3位に東京がランクインした。
  大阪府域の訪問施設は、1位が道頓堀(心斎橋・難波・アメリカ村)、次いで大阪城、ユニバーサルスタジオ、日本橋、黒門市場の順であることが分かった。
 リーガロイヤルホテルPR&デザイン室の中島順子室長は「外国人宿泊客は中国、韓国、タイの順に多く、観光地は道頓堀が人気」と話す。
 インターコンチネンタルホテルズグループのvoco大阪セントラルでは、アジア人が多いものの最近は欧米からの宿泊客も増えてきたという。「コロナ明けで、欧米人は様子を見ていたのではないか」と宍倉大地総支配人。宿泊客の行き先は同ホテルもランキングの通り、USJ、ミナミ、大阪城が多く、府外では京都や奈良などにも訪れている。
 いずれのホテルも訪日客は2泊以上で利用しているという。

訪日客が大阪で訪問した施設

政府系金融機関 民泊不動産ファンド組成

 政府系金融機関の日本政策投資銀行(DBJ/東京都千代田区)は、都市部の民泊運営に特化した不動産ファンドを組成したと10月17日に発表した。民泊施設システム開発会社のマツリテクノロジーズ(同新宿区)と提携し、既存の居住用物件を新たな宿泊インフラとして醸成していく考えだ。
 円安や国の施策を追い風に、大阪を中心に関西を訪れる外国人観光客はますます増加するだろう。
 一方で、訪日客宿泊者の75%は東京と大阪、京都、北海道、福岡の5つに集中し、地方は経済効果を実感できていないのも現状だ。地方もインバウンド誘致に情報発信していくことが重要だ。