【対談シリーズ】四條畷市長と学習塾社長の滑らない話

四條畷市長 東修平 × 個別指導キャンパス 代表取締役 福盛訓之

驚かないことがとてもうれしかった(東)チャレンジしようとする青年の目は輝いていた(福盛)

 〝笑う門には福来たる〟のように、いつも笑って暮らしている家庭には幸運がやって来る。心掛け次第で暗くも、明るくもなるのが人生。そうだとすれば、心をいかに育むか。新教育総合研究会「個別指導キャンパス」の福盛訓之代表が、各界の人たちと語り合う。対談シリーズの3人目は、四條畷市長の東修平さん。

東修平氏

あずま・しゅうへい
 1988年、四條畷市出身。京都大工学部卒、京都大大学院修士課程修了。2014年に外務省入り。環太平洋経済連携協定(TPP)など貿易協定の交渉業務に従事。野村総合研究所インドを経て17年の四條畷市長選に初当選。現在2期目。特技は合気道、マンドリン演奏。

 ―福盛さんにとって、東さんは教え子になります。

福盛 私が初めて出会った中学生の頃の東さんと、市長である現在の東さんは同一線上にあるように映ります。周囲の人たちへ均等に愛情を持って接する姿は、中学時代のままです。中学生と言えば、感情の起伏が激しくなる年頃ですが、東さんは穏やかだった。おそらく、内面に秘めた「燃える」ものを持っていたと思います。

 ―この評価をどう受け止めますか。

 自分で自分を評価するのは難しいですが、確かに、私は学級委員や生徒会執行部の活動を通して生徒間に差をつけることを避けてきました。生徒だった私から見た福盛さんの印象は、とにかく軽快で行動的。講師の方々は個性的でした。福盛さんの教育への情熱や考え方に魅了され、熱意を持って指導されていたので、教室の雰囲気が実に良かったです。

福盛 私たちの学習塾は合格実績をひけらかすことをしません。子どもたちの意欲を引き出し、正しい学習姿勢を身に着けさせることで、成績を上げてきました。よく分かり、楽しい授業を展開しています。極めて学力の高い講師、分かりやすく教えるのが得意な講師、内気な生徒に心を開かせるのが得意な講師、やる気に火を付けるのが得意な講師…。実に多士済々の講師陣を擁してきました。自分なりに勉強や部活動に対して能動的に取り組んできた若いながらも見どころのある学生たちを講師として採用していたので、多感な生徒たちに勉強のみならず良質な刺激を与えていると思います。

 私も大学に進学して、福盛さんの学習塾に講師としてアルバイトしました。

福盛 大学の貴重な青春時代に、一生懸命、生徒たちへの指導に時間とエネルギーを割いてくれました。

 理屈ではなく、本能的に、福盛さんの下で講師をしたいと思ったんです。生徒たちの学力は幅広かった。勉強できる生徒ばかりではありませんが、例えば、理科だけは得意という生徒が個性を伸ばしていく。そんな授業を手掛けたことは貴重でした。

福盛訓之氏

ふくもり・としゆき
 1973年、大阪市出身。大学在学中の19歳で起業。96年に新教育総合研究会「個別指導キャンパス」(大阪市北区)を設立。個別指導塾を全国約300教室で展開。第21回稲盛経営者賞第1位、第1回大阪府男女いきいき事業者表彰優秀賞、紺綬褒章など受賞多数。

 ―東さんの経歴は目を見張ります。京都大に進学し、京都大大学院から外務省に入り、その後、野村総合研究所を経て2017年に出身地の四條畷市長選に初当選。福盛さん、どう評価しますか。

福盛 こらえ性がないと思います(笑)。冗談はさておき、東さんが市長に就任した四條畷市はあらゆる指標が改善し、今まさに全盛の時代を迎えているのではないでしょうか。行政サービスの向上はリーダー次第ということです。

 私はいろんな局面で福盛さんからアドバイスを頂きました。四條畷市長選への立候補を決め、報告した時の受け止めは今も鮮明に覚えています。多くの方は反対でした。ごくまれに消極的な賛成を示される方がいらっしゃいましたが、福盛さんは全く驚かず、「ええやん」と言ってくれました。それがとてもうれしかった。

福盛 私が始めた「個別指導キャンパス」はいわば、ベンチャー企業です。世の中に役立ちたいと思ってやって来ました。何も無いところからチャレンジしようとする青年の目は輝いていた。東さんの話を聞く中で、揺るぎない思いが伝わってきたことを、私も覚えています。本当に力を持った人は物静かであり、内面にメラメラと燃えるものを抱いているのだと思います。冒頭に話した東さんの印象そのものです。

 ―初当選した東さんの当時の年齢は28歳。全国最年少の市長でした。

 私は外務省で働いていた頃から、政府の地方創生に関心を持っていました。地方から国を変えることが大切と考え、外務省を飛び出しました。俯瞰(ふかん)的な視点を持つため、野村総合研究所に移り、その後、四條畷市長選に立候補しました。市長に就任した私は、副市長に子育て中の女性を起用しました。市役所の幹部職員は新卒の男性ばかりだった。多様な市民ニーズに対応するため民間出身者を迎え入れました。

福盛 私は、稲盛和夫さんの考え方に共感を持っています。それは「人生や仕事の結果は、考え方と熱意と能力のかけ算で決まる」というものです。東さんの熱意や能力が高いのは言わずもがなですが、誠実、謙虚、感謝、素直、勤労、勤勉、公平、公正で、明るく前向きといった人間として正しい考え方を持っているところが魅力です。今後のますますの活躍に期待しています。

 私は市長に就任したその日から、大地震や台風など緊急時の対応も含め、最終的な責任を負うことになると考え、やって来ました。現在2期目ですが、これからも、生まれ故郷を発展させるため、熱意を持って注力していく決意です。

 ―福盛さんと東さんの付き合いは長く、深い。それぞれの思いが交錯した対談でした。本日はありがとうございました。

  (司会は深田巧、写真は佐々木誠)