塩野義製薬(大阪市)は4月1日、2026年度の「SHIONOGIグループ合同入社式」を、シオノギ教育研修センター「PORT」(兵庫県尼崎市)で開催した。キャリア採用を含む126人の新入社員が出席し、同社が掲げる変革期の中で新たな一歩を踏み出した。
今回の入社式は「体験型入社式」と銘打ち、従来の一方向型から双方向型へと刷新したのが特徴。役員が先に入場し新入社員を迎える形式や、参加型の企画を取り入れるなど、約50年続いたスタイルを見直した。
式では、代表取締役会長兼社長CEOの手代木功氏が祝辞を述べ、「大阪発から世界に健康を届けるべく、新たな力が入社した日でもある」と強調。社会人としては「学ぶ権利」から「貢献する義務」への意識転換が重要とし、AI時代においても人間ならではの経験や価値創出が不可欠と説いた。
また、法令順守にとどまらない倫理観の重要性や、多様な人材が協働する意義にも言及。「最も大切な人に胸を張って話せる行動を」と呼びかけ、企業活動における判断基準を示した。

新入社員代表の吉田康晟さんは、感染症領域の薬剤開発を通じた社会貢献への決意を表明。150年の歴史を持つ企業の一員として、人々の健康を支える使命に向き合う姿勢を示した。

目玉企画として実施された「タイムカプセルイベント」では、医薬品のカプセルに見立てた容器に、新入社員の思いや目標を〝有効成分〟として封入。グループワークで作成したメッセージカードを手代木社長が納め、1年後に開封することで初心を振り返る仕組みとした。新入社員が主体的に関わる象徴的な企画として、式の締めくくりを飾った。

人事部長で理事の河本高歩氏は、「多様な背景を持つ人材が入社する中で、『この会社で働いてよかった』と思える体験を提供することが重要」と説明。「受け身ではなく、自ら参加し記録を残すことで、将来の自分に返ってくる入社式にした」と狙いを語った。

新入社員の個別インタビューでは、ヘルスケア事業管掌オフィスの春山莉音さん(東京都立大学出身)が「未来と自分を信じる強い気持ちを生かし、患者や社会に貢献したい」と抱負を語り、臨床開発部の赤間未呼さん(慶應義塾大学出身)は「つらい時に初心を思い出せるようなメッセージを書いた。今日の入社式のときに感じた気持ちを忘れずに学び続ける姿勢を大切にしたい」と意欲を示した。ワクチン開発研究所の吉田康晟さん(京都大学出身)は「新しい発想を生かし、身近な人にも届く薬を生み出したい」と話した。
3人はいずれも、コロナ禍における同社の取り組みに希望や安心を感じたことを志望理由に挙げ、感染症分野などでの強みや研究開発力に魅力を見いだしたという。

同社は現在、2030年に向けた成長戦略「STS2030」の下、従来の創薬型企業から医療サービス全体を担う「ヘルスケアプラットフォーマー」への転換を進めている。今回の入社式は、その変革を象徴する取り組みの一つと位置付けられた。
