万博の縁から実現 万博チェコ館アーティストが一期一会のパフォーマンス

 万博チェコパビリオンでのパフォーマンス以来、何度も取り上げてきたチェコのパフォーミングアーティストのVit Kodousekさんが、2月26日にグランフロント大阪の北館7階(大阪市北区)にある会員制サロン「Knowledge Salon (ナレッジサロン)」で、一期一会をテーマにしたオリジナルパフォーマンスを披露した。

 これまで何度となく取材・鑑賞してきたパフォーマンスだが、今年に入ってからの鑑賞は今回が初めて。前回までの内容から大きくブラッシュアップされ、より洗練された印象を受けた。

 これまでにないスタイルで始まるオープニングも新鮮で、演出面の進化がうかがえる内容となっていた。

 基本のスタンスは同じで、墨を使って白い紙に円を描き、最後には作品の一部を千切って細かくし、来場した観覧者にこの場と時間を共有した証拠としてプレゼントするというものだった。

 今回のパフォーマンスでは、Vitさんの思いや、自身が「一期一会」に魅せられた理由などを語った。大阪万博をきっかけに広がった人とのつながりの大切さにも触れ、偶然の出会いが新たな縁を生み、さまざまな出来事を生み出していくことなどについても話した。
 実際、今回のパフォーマンスも、Vitさんらが参加した集いで出会った人物の知り合いの知り合いが会場となったナレッジサロンの会員で、そこからナレッジキャピタル総合プロデューサーの野村卓也氏に繋がり、「Vitさんの活動に感じるものがあった」ということで、野村氏の鶴の一声で開催が決定されたという経緯があった。
 まさに一期一会の縁が繋がって出来た産物がこの日のVitさんのパフォーマンスだった。

 Vitさんのパフォーマンスをサロンで開催することを決断した野村氏に聞いてみると「万博でチェコパビリオンに行った縁もあるが、一期一会を体現しようとしているVitさんの理念や活動に共感したし、パフォーマンスも人を惹きつける魅力があった。普段はビジネスセミナーなどのトーク系のイベントを主催することが多いので、こういうアート系も良いと思った」と万博との縁やパフォーマンスが秘める魅力を感じとっての判断だったようだ。

 Vitさんを囲むように配置されたイスに座っていた観客もパフォーマンスが進むとともに、彼が描く円の中心に吸い寄せられるような空気感を醸し出していて、パフォーマンス後も多くの質問があり、観客の関心の高さも感じられた。

 またイベント終了近くになって、クリニックを経営している医師だという男性が、「知り合いが協力しているNPOが、アイデンティティを見失った人たちをサポートするためにアート活動を展開しているので、そこでVitさんのパフォーマンスを披露するのはどうか?」とその知り合いと繋げてくれるという話があった。ここにも今日この場で出会った人の間で縁ができ、そこから人と人の縁が介在して新たに人と繋がっていく。正しく一期一会から始まる人の縁があった。

 Vitさんは「大阪万博では世界中から万博に参加するために大勢の人が集まった。そこでものすごい数の人との出会いがあり、私はその時に得た縁に感謝している。その感謝の気持ちをこうやってパフォーマンスすることで、一人でも多くの人に伝えて行きたい」と語っている。

 彼は概念としての一期一会は観念的には理解していたが、それを表す言葉「一期一会」を知らず、母国語にもその表現はなかったという。その言葉を、日本で茶道を体験したことをキッカケに知ることになり、深く理解するにつけ、その意義の大きさ、哲学的な普遍さに魅せられて行った。

 赤い線は、漢数字の一を表していて、一は同時に自分自身という個人であり、円の中全体の一部でもあることを表しているそうだ。

 Vitさんのパフォーマンスはただのアートパフォーマンスではなく、日本に根付く哲学の奥深い部分に触れられる貴重な機会であり、多くの日本人が忘れかけている日本の心のような部分を再認識させてくれるものなのだ。

 2月28日には南港ATC・Cホール(大阪市住之江区)で行われるアフター万博イベント「クラゲ祭り(KURAGE Festival)」でもパフォーマンスすることが決まっているというので、興味を持った人は、会場を覗いてみては。

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