時価総額世界トップの米アップルが銀行業界へ参入。米国でアップルが提供している「アップルカード」の利用者向けに、なんと年率4・15%という高金利の普通預金口座の開設が4月17日からはじまっている。年率4・15%ということは、100万円預金すれば単純計算で1年に4万1500円の利子がつく計算だから、預けていても金利はないに等しかった銀行預金だけに日本でも大きな話題になっている。
アップルカードは米国在住者であれば作れるアップルのクレジットカードで、金融大手のゴールドマン・サックス銀行と組んで提供している。残念ながら現時点では日本でのサービス開始の予定はないが、今後上陸する可能性や、この動きが銀行業界に影響を与えるかも知れないので、知っておいて損はない。
実体としてはゴールドマン・サックス銀行の支店に口座が作られるとのことから、電子マネーなどではなく、預金保険の対象になる正規の銀行口座といえる。また、口座の上限は25万㌦で、米国の預金保険(米連邦預金保険公社=FDIC)でカバーされる上限と同じ金額となっている。
実は日本だけなく、JPモルガン・チェース銀行やバンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ銀行といった米国のメガバンクの定期預金の金利は0・01~0・05%と日本と同じような低金利で推移している。
つまり米国でもちょっとした「気付き」で預金者や投資家の資金がより有利な運用先を求めてシフトする。ほぼゼロに近い預金金利の金融機関は今後、預金流出などうかうかしていられない状況になるかもしれない。
一方、アップルは全米平均の10倍以上であることを強調している。現在の米国の政策金利は5~5・25%(5月現在)。この影響でいま米国には短期国債から構成される魅力的な高利回りの金融商品が増えている。
前述のとおり、アップルカードは米国在住者向けのサービスで、日本ではまだ提供されていない。しかし、日本でも証券会社の外貨建てMMFなど、米ドルを持っていれば高金利の恩恵を受けられるものもある。
ただ、最大のリスクは為替変動だ。コロナ前の2020年から円安が進み20%以上も変動してきた。今後、インフレが順調に抑えられて米国の利上げが停止され、利下げとなると円高ドル安になる可能性も考慮しておいた方がいい。