【外から見た日本】この国は国民主権のはずだが… 

岡野 健将(Spyce Media LLC 代表)

Spyce Media LLC 代表 岡野健将氏

 岸田政権が勝手に決めた軍事費倍増とそれに伴う増税。政府内から発せられる無責任な消費増税。政府の無策によるインフレは収まる様子なし。少子化が進み、昨年の出生数は過去最低。性の平等においては世界最低レベル。

 それでも国民は何も言わない。正確には個人レベルでは文句を垂れている。SNSなどでは悲痛な叫びも見かけるが、無能な政府に対して他国で見るような社会としての大きな動きや声をあげての抗議運動などは起こらない。

 ある意味平和な国だ。これだけ日々の生活が踏みにじられ、人生が振り回されていても、生活に困ることなく人並みには生きていける。こんな稀有な国は世界中を探してもそう多くはない。その点で私たち日本人は恵まれている、と言えるかもしれない。

 ただ、日本人は昔から声を挙げて来なかったわけではない。歴史をさかのぼれば下克上や一揆の時代があり、戦中にはクーデターも発生した。戦後に安保反対の学生闘争があったし、70~80年 代には労使交渉の決裂によるストライキもあった。つい最近ではSealsと名乗る学生を中心にした団体の抗議活動もあった。そしてメディアが取り扱わなかったため、無かったことにされている原発再稼働反対のデモも行われた。

 戦後に限っては、国民が何をしても大勢が変わることはなかった。2大政党制を取る海外の国のように、自民党に取って代われる野党がいないからだ。選挙という国民主権を発動する場があっても、発動する先がないという情けない状況が続いている。大阪には維新の会があるので、同党の善し悪しは別として、自民以外の選択肢があるだけ他府県よりはましかもしれない。ただ、国政になるとそれもまだ非力だ。

 増税、インフレ、教育格差、実質給料の減少、近隣諸国との摩擦、コロナ対策…。多くの問題を抱えていても、黙って政府のいいなりになっていることに、国民は何を思っているのか?

 都合の悪い事実を取り扱わないマスメディアに踊らされ、視聴率の取れそうな悪目立ちする番組内容に一喜一憂し、本来見据えなければならない現実から目をそらし、考えることを辞め、与えられるものだけが「全て」であり「唯一の事実」と思い込んで行動する。

 そろそろ目を覚まそう。自分の人生なのだから、自分の責任で判断して生きていこう。

 いつまでマスクするんですか? 防衛費を倍増したら本当に日本は安全になるんですか? 原発を再稼働して大丈夫なんですか? インフレ対策、何かできませんか? 収入減を補う方法はありませんか?

 自分の将来、自分で決めませんか?


【プロフィル】 State University of New York @Binghamton卒業。経営学専攻。ニューヨーク市でメディア業界に就職。その後現地にて起業。「世界まるみえ」や「情熱大陸」、「ブロードキャスター」、「全米オープンテニス中継」などの番組製作に携わる。帰国後、Discovery ChannelやCNA等のアジアの放送局と番組製作。経産省や大阪市等でセミナー講師を担当。文化庁や観光庁のクールジャパン系プロジェクトでもプロデューサーとして活動。