Spyce Media LLC 代表 岡野 健将
あけましておめでとうございます。
2025年はどんな1年になるでしょうか? 今年は昭和100年でもあります。戦後の日本を背負ってきた昭和の時代にとっての大きな区切りの1年になるのかもしれません。
バブルの最盛期に昭和が終わり、平成が始まりましたが、そこから日本経済は失われた30年と呼ばれる時代をたどることになりました。
世界を席巻した日本企業とジャパンマネー。世界最先端の技術力と最高品質の製品。街はきれいで安全で、勤勉で真面目な日本人。戦争にまみれながら始まった昭和は、戦後の高度経済成長で見事に復活して豊かな日本を築き上げました。
それから35年近くが経った今、日本はどうなったのでしょうか? 経済の停滞と閉塞感。夢や希望を語るより目の前の現実に対処するのが精一杯、という人があまりにも多いのではないでしょうか。
そして、これからの時代は過去よりも変化のスピードが早くなり、変化についてける人と、ついていけない人で、その差は劇的に広がります。チャットGPTなどの生成系AI(人工知能)による音声会話や動画作成、AIを利用したアプリやシステム、サービスなどの日常生活の利便性の向上、自動運転やヒューマノイドロボットなど最先端テクノロジーの実装化などは未来の話だと思っていてはいけません。今年はこれらがどんどん実用化され、広く一般にも利用されはじめるでしょう。それが日本であるかどうかは関係なく、世界の動きは間違いなく、その方向へ移行して行きます。空飛ぶ自動車が関西万博で実現出来ないのはかなりの致命傷だと言うことに、どれだけの人が気づいているのでしょうか? そしてこれが今の日本を象徴していると言えます。
日本が停滞していた30年以上の間に、世界では経済成長が進み、技術革新が起こり、新しい企業が登場し、世の中をどんどん変化させてきました。平成が始まった時、グーグルもアマゾンもフェイスブックもネットフリックスもまだ世の中に存在していません。インターネットも一般に普及しておらず、スマホが登場するのは2000年代に入ってから。テスラやアリババ、ティックトックやインスタグラムが登場したのも、Kポップや韓流コンテンツが大流行したのも今世紀に入ってからです。
この間、日本は世界最先端のもの、世の中を激変させるような製品を送り出したでしょうか? 一時のソニーがそうであったように、誰もが知り、あこがれるような企業が日本から誕生したでしょうか?
24年には日経平均株価が瞬間的に過去最高を記録しました。しかし、結局勢いはそこまで。4万円前後をウロウロするだけで、そのラインを突破していくパワーはありません。その間、米国のダウもナスダックもS&P500も最高値を更新し続け、強い経済成長をみせました。
世界から置いていかれる日本が、再び世界と戦うには、現在のやり方や考え方を大きく変える必要があります。当然、変化を起こせば痛みも伴いますし、既得権益を手放してもらわないといけない人や組織も出てきます。それでも自ら痛みを伴う改革や変革を受け入れなければ、このまま沈んでいくのは目に見えています。人口減少や高齢化、社会保障費の増大で身動きが取れず、未来への投資が出来なければ、その国に明るい未来が来るはずはありません。
それなのに、日本で話題になっているのは103万円の壁や、最低時給を1500円に、と言うのではあまりにも情けなさすぎます。
今回のコラムを書くとき、どこかに明るい話題はないか、と見回してみたのですが、残念ながら見当たりませんでした。唯一挙げるとすれば大阪・関西万博でしょうか。世界に対して日本の良さを伝える絶好の機会。3兆円弱程度の経済効果が見込まれ、これを利用しない手はありません。
年明けからなかなか厳しいことを書き連ねましたが、今の日本の置かれている現状は実際そのくらい厳しい状況であることを理解してもらいたいのと、だからこそ痛みを伴ってでも変化を起こしていかなければいけないと言うことに気づいてもらいたいのです。
日本人の劣化が進み、小さくまとまって、波風を立てずに楽な方へ、安全な方へ流されてしまう傾向が強く、リスクをとってでも変化を起こさないといけないと感じる人があまりにも少ない。これでは失われた30年はそのまま40年、そして50年へと続いてしまう。
それを止められるのはあなたです。誰か他の人がやってくれると思うのではなく、あなたが率先して変えていかないとダメなんです。
保守的な高齢者には率先して自己犠牲を伴う変化を作り出してもらいたいですし、若者たちにもどんどん壁にぶつかりながら新しい世界へ飛び出してもらいたいものです。