【投資3年目 記者の勉強会】日米株価、今なぜ下落しているの? 原因は米国のインフレ再燃懸念と、中東情勢リスク

イスラエルの国旗

 4月に入ってからというもの日本、米国ともに株価の上値が重い。なぜのか? 大きな理由は、米国のインフレ再燃懸念とイスラエルを中心とする中東情勢リスクだ。

米国市場のメインシナリオは、「利下げ」がどうなるか?

 米国のインフレ再燃リスクは4月上旬に発表のあった経済指標(消費者物価指数など)が上振れしたためだ。今は株価にとってバットニュースがグッドニュースの傾向だ。理由は経済が弱るということはインフレが収まっているという解釈となるからだ。

 現に米国の政策金利は今年から「利下げ」がメインシナリオでそれが「いつ始まり何回あるのか」だった。3月では年3回の利下げが織り込まれていたが、4月中旬には年1回と利下げ期待が後退した。また市場が利下げ期待を早くに織り込みすぎたとこいう声もあり、「株価は調整している」と思われる。

緊迫する中東情勢 イスラエルが暴走?

 次にイスラエルとその周辺国の地政学リスクがある。不謹慎だが「遠くの戦争は買い」という格言があるが、市場は前例がないことを嫌う。つまり、イスラエルVSイランという構図は前例がないため株が売られ原油が買われた。今は原油価格と逆相関している。

 何があったのか? 直近の中東情勢で先に手を出したのはハマス(パレスチナ・ガザ地区)だが、その後の情勢はむしろイスラエルに反感が集まる。イスラエルの攻撃はガザ地区の病院やボランティア団体など多くの民間人に犠牲を出した。4月1日にイスラエルがシリアのイラン領事館を攻撃し、軍事の高官が死亡したという事件がおきた。これに対しイランは面子を保つことが目的で〝限定的〟な報復を行った(4月13~14日)。イランの報復は米国へも情報がいっており、ここまでは既定路線であった。その後、イランからは一連の軍事行動が終了したというメッセージ発せられ、株価は持ち直すかと見られた。

 しかし問題は、イスラエルがさらに〝報復の報復〟をするか否かいう報道が再び株価をリスクオフに向かわせた。水面下では米国がイスラエルを抑えられるかどうかが鍵となっている。イスラエルは米国を巻き込みたいが、米政府はイスラエルの報復に明確に反意を示している。防御は支援するが、攻撃は関わらないとしてイスラエルに抑止を求めている(余談だが、ここで日本の外務省が欧米のスタンスに沿ってイランを非難しているのに違和感を持ったが)。今回の中東情勢について米国やイランは、戦争がエスカレートするのを避けたいという意思があるのが伺えた。

 今後は、中東情勢が悪化すると、インフレの元凶である原油にも関わることなので、株価は下落しやすくなる。一方で仮に中東情勢が沈静化してマーケットの材料にならなくなると、11月の米国大統領選挙に向けて、いつインフレが鎮静化し、利下げが開始されるのかに話題が戻る。直近では、4月下旬から本格化する米国企業の決算、中でも米国市場を牽引するマグニフィセント・セブン(超大型7銘柄 ※)や半導体銘柄の決算に注目が集まり、早くも「業績相場に移行してくるのでは」という見方がされ始めている。

(※)マグニフィセント・セブン…アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、エヌビディア、テスラ、メタの巨大ハイテク株の総称