国土交通省が発表した2024年の公示地価で、大阪府の商業地では2年連続の上昇でプラス6%と前年より3・5ポイント拡大した。背景には新型コロナウイルス禍で落ち込んでいたインバウンドの需要と国内消費の回復で大幅に伸びた。
商業地では飲食店が多く集まるエリアの上昇が目立つ。大阪市全体の上昇率は9・4%。区別では西区(14・5%)、福島区(12・2%)、中央区(11・7%)、北区(10・9%)の順でマンションやオフィスの需要が高い。
市内の商業地で最も上昇率が高かったのは中央区道頓堀の「新世界串カツいっとく道頓堀戎橋店」付近で、前年から25・3%のプラスに。2023年に大阪を訪れたインバウンドは約980万人とコロナ禍前(19年)の85%の水準に回復した。
再開発の動きも地価を押し上げた。9月6日の一部まちびらきを控える北区のうめきた2期(グラングリーン大阪)に期待し、隣接の福島区が12・2%上昇。
このほか、3月23日に開業した北大阪急行電鉄の箕面船場阪大前駅の隣接地も再開発が進み、同駅のある箕面市は4・2%上昇した。
商業地の最高価格は4年連続で大阪市北区大深町のグランフロント大阪南館の地点だった。
住宅地はどうか。大阪府の住宅地の地価は1・6%上昇し、3年連続で上がった。伸び率が高いのは守口市の4・1%。大阪市内は西区(7・5%)、浪速区(6・5%)、城東区(6・4%)、東成区(5・5%)などが高かった。また、大阪市のベッドタウンとして北摂エリアは人気が高い。鉄道延伸で新駅ができた箕面市は延伸効果もありプラス2・3%高かった。
ただ、今後の上昇については「マイナス金利解除で住宅ローン金利が上昇すれば、住宅需要が減退する可能性もある」(大阪市内の不動産鑑定士)との指摘も。