履正社中高(豊中市)が「学術基盤センター」を新設 加速する学校改革

米国の名門校と提携 「デュアル・ディプロマ・プログラム」導入予定

 学園設立100年を超える履正社中学校・高等学校(豊中市・中高一貫校)が今年4月、新たに校内組織「学術基盤センター」を立ち上げ、学校改革を加速させる。初代センター長にはこれまで東京・神奈川の複数の中学・高校で勤務し、海外大への進学指導や海外大との連携協定締結などの実績を持つ松本浩欣氏が就く。同校の何がどう変わるのか。キーマンに狙いを聞いた。

 同センター設置の大きな目的は、ドラスティックに変化する時代に対応する人材を育成すること。そのために、①世界にひらかれた視野を持つ人材を育成する教育プラグラムを開発すること、②主体的な学習者を育成する探究的な学びをデザインすること、③すべての生徒や教師の学びを支え、学園全体の教育活動を常に高度化すること、の3点を主務とし、同校で学ぶ生徒たちの生涯にわたる知的な基盤を形成する拠点として進めていく予定だ。

4つの部門で学びを改革

 同センターは従来の教務組織とは別に、「多言語多文化教育部」「図書館情報教育部」「言語技術教育部」「探究教育部」を置き、各分野を専門的に研究しつつ、互いを有機的につなげることで、教育効果を最大化させるという。

 まず、「多言語多文化教育部」は「世界は外にあるものではなく、ここが世界だ」をテーマに、海外の学校との日常的な相互交流や交換留学、国内外の大学との連携を進め、生徒が海外大学に進学する環境を整える。今年中に米国の名門校と提携した「デュアル・ディプロマ・プログラム」を導入予定で、同校の卒業と同時に米国の高校の卒業資格を取得することで、米国の名門19大学への推薦入学資格が得られるほか、日本の大学の帰国子女枠での受験も可能になる。

 「図書館情報教育部」は情報リテラシーに着目する。今や個々が情報の受け手であると同時に作り手でもある時代。「情報をどう収集し、状況に応じて活用するのか」。単にICTが使えるというスキルに留まらない学習を深める。

 「言語技術教育部」は、欧米を中心に実践されている世界標準の母語教育「言語技術教育」を推進する。言語の4機能(聞く・話す・読む・書く)に加えて、論理的、分析的、批判的、創造的な思考の訓練を積み上げる。言語技術は全ての教科の基盤であり、将来のコミュニケーション能力の骨格となる。同校は「つくば言語技術教育研究所」と連携し、プログラムを運営する。

 「探究教育部」では、生涯に渡って主体的に学び続ける基盤を形成するために、自ら問いを立ててそれを深める学びのあり方をデザインする。授業や行事、部活動において周囲と協働することで「正解のない問い」の解決を目指し、成果を発表や論文の形で共有して社会に還元する循環を作り上げる。

 松本氏は「知識やスキルを学ぶことは常に重要です。しかし、『覚えて身につけたものをどう活かすか』を思考する下地が学校教育には必要です。その思考のトレーニングをするのがセンターの仕事。全ての生徒が自分の持っているものをちゃんと活かせるように、しっかり下支えをしていきます」と力強く話していた。

 同中学校は3月30日(午後2時~同3時半)、新小学6年生が対象の「第3回 プレ・オープンスクール」を開く。受験生が志望校選びに必要となる情報や同校の特徴や取り組み、校風を紹介する。

【学術基盤センター長 松本浩欣さん プロフィル】
 英語科教諭として東京・神奈川の複数の中学高校で勤務。海外の学校との相互交流・姉妹校関係の締結、海外大への進学指導や連携協定締結、「Dual Diploma Program」導入に加えて、文部科学省、内閣府、外国の政府教育省などと連携し、国際交流関連プロジェクトを手掛ける。東京外国語大や東京都立大で非常勤講師を兼務。教育実践者と研究者の両面から、高大連携による教育の高度化をテーマに日々実践を重ねる。

■履正社中学校・高等学校/豊中市長興寺南4-3-19/電話06(6864)0456
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