【外から見たニッポン】 Israel has all the rights to respond

(Spyce Media LLC 代表 岡野健将)

Spyce Media LLC 代表の岡野健将氏

 現在、パレスチナのガザ地区で起きていることを端的にまとめると、「突然ハマスが無抵抗のイスラエルの一般人を殺りくし、イスラエルが報復している」ということに尽きます。

 この問題を論ずるには、パレスチナや中東という地域、イスラエルとアラブ、ユダヤ教とイスラム教など1000年以上の長い歴史の上に堆積してきた多くの課題や問題が複雑に絡み合った結果、今の混沌(こんとん)とした状況があることを踏まえておかなければなりません。

 問題の深刻さや複雑さを理解しないまま感情だけでコメントしたり、どちらかが一方的に悪いと断罪したりすることは、非常に危険です。

 その上で、今ガザ地区に住むパレスチナ人がしなければいけないことは、「アッラー アクバル!」と叫びながらマシンガンをぶっ放しているハマスのメンバーを取り押さえ排除すること。そうすればイスラエルからの攻撃は止みます。

 そしてハマスというテロリスト集団でなく、民主的な形で選ばれた代表や代表団を責任者にして、対イスラエルとの交渉を任せることではないかと思います。

 4000発ものロケット弾を無差別に撃ち込み、赤ちゃんや女性も含めた1000人以上の無抵抗の民間人を殺りくするような組織や人間を相手に、まともな交渉が出来るとは到底思えません。

 また、イスラエルはハマスのメンバーをターゲットにして報復していますが、ハマスが一般人を盾に立てこもるため、一般人が被害を被り犠牲になっている、という事実も見逃せません。

 ハマスにとって一般のパレスチナ人は何なのでしょう? ハマスの暴力で物事を解決しようとする発想はあまりにも短絡的すぎます。過去70年近く、イスラエルに虐げられてきた積年の思いや怒りがあるのでしょうが、このようなテロ行為で何かが解決すると思うことが信じられません。

 教育の影響はこういうところにも現れており、ゆがんだ価値観や歴史観を形成した結果、多数の命が無駄に奪われてしまっています。

 イスラエルは攻められれば生き残るために徹底的に抗戦してきています。このような報復を受けるのは火を見るより明らかだったはず。ハマスはそれがわかっていてやったのであれば、結果としてパレスチナ人がとんでもない被害に遭っている原因を作ったのはハマスだと言わざるをえません。

 記事のタイトルにしたフレーズは、欧米メディアのアンカー達が発した言葉です。「イスラエルは報復する権利がある」と言っているのです。

 日本人や平和主義者がどう思おうと世界の趨(すう)勢は、外国から攻められたら、自国や自国民を守るために戦うことを認めています。交戦権というもので、専守防衛ではなく、国を、国民を守るためには相手を攻め滅ぼすことが最適と考えられているのです。

 この考えに賛同するから暴力主義者や戦争賛成なのではなく、一人でも自国の犠牲者を出さないように攻めて守るという発想であって、決して暴力や戦争を称賛し推進している訳ではありません。

 忘れてはいけないのが、ハマスのメンバーはパレスチナ人かもしれませんが、全てのパレスチナ人がハマスのメンバーではない、ということ。多くのパレスチナ人は平和を求めていますし、ハマスのような暴力を称賛している訳ではありません。

 大枠ではイスラエル対パレスチナかもしれませんが、実際は一部の極端な考えの元、「人を殺(あや)めてはいけない」という理論が通用しないテロリストとの戦いなのです。どちらにも言い分があり、積年の思いがあり、立ち位置を変えれば見えて来る景色が違います。

 もし、日本が外国から攻められて、自分の身内や日本人が殺害されたら、あなたはどういう行動を取りますか? 「平和的に話し合いをしよう」と侵略者に訴えかけますか? それとも日本政府に圧力をかけて「国を守るために戦え」と訴えかけますか? あの日、音楽フェスに参加していた人たちの身に起こった事は、私たちには起こらないと言い切れますか?

 私たちは何が起きても不思議はない世の中を生きています。生き残るためにどんな行動を取るべきか、常日頃から考えておく必要があると強く感じます。

【プロフィル】 State University of New York@Binghamton卒業。経営学専攻。ニューヨーク市でメディア業界に就職。その後現地にて起業。「世界まるみえ」や「情熱大陸」「ブロードキャスター」「全米オープンテニス中継」などの番組製作に携わる。帰国後、ディスカバリーチャンネルやCNA等のアジアの放送局と番組製作。経産省や大阪市等でセミナー講師を担当。文化庁や観光庁のクールジャパン系プロジェクトでもプロデューサーとして活動。