大阪城公園(大阪市中央区)の東側地域(同市城東区、東成区)で、次世代型のまちづくりが始まる。2022年度に設置される府立大と市立大の統合による新大学キャンパスを中核とし、大学とともに成長するイノベーション・フィールドシティーを基本構想とする。府・市は大学を軸にエリア全体を整備し、「キタ─ミナミ」の南北軸に加え東西軸を形成する。(三野 陽一)

対象エリアはUSJ規模の53㌶
同地区は緑豊かな大阪城公園に近接し、年間1400万人が訪れる。京橋駅から徒歩10分と近く、JR環状線と大阪メトロ中央線など4駅に囲まれる。主要幹線道路に面し、阪神高速道路の森ノ宮出入り口もあり、都心への交通利便性が高い。北側には情報関連企業が集まる大阪ビジネスパーク(OBP)地区、南側には大規模な医療施設も立ち並ぶ。
一方で市のごみ焼却工場跡地とその建て替え計画用地が、計画の中止に伴い未利用のままとなっていた。府庁舎本館南側に移転した府立成人病センター跡地もある。
府・市は同地区のポテンシャルの高さを生かすため、新大学のキャンパス設置を中核としたまちづくりを構想。有識者と検討会を開き、昨年12月から3回にわたって方向性を議論し、今年3月に方針案を公表した。
方針案によると対象エリアは、大阪城公園の東側53㌶。大学が先導役となってイノベーションを誘発するようなまちを基本概念に据える。観光集客▽健康医療▽人材育成▽住居機能―を集め、多世代と多様な人が集う国内色あるまちづくりを目指す。

1期でキャンパス 後に商業、宿泊系も
土地利用計画の1期は、22年に開学する新大学の都心キャンパスを、25年に同地区の中心にある市有地(2・6㌶)に整備する。
1・5期では民間活力を導入し、スタートアップ支援などの業務系、国際交流を促進する商業系、学術交流を促す宿泊系、居住・医療系機能を整備する。
ソフト面も同時に並行させる。大学の存在を生かした地域との連携やまち全体を実証、実装の場と位置づけ、スマート化を進める。大学はビッグデータを活用して高齢者問題を研究し、まちに功績を還元する。バスなど自動運転など可能な分野から随時取り組む方針。
2、3期以降は、キャンパス周辺に親水空間ゾーンを設け、1級河川の第二寝屋川に面した遊歩道や散歩ができるスペースを整備。多世代居住複合ゾーンはURの団地や病院がある場所で、スマートエイジングの取り組みを展開する。JR大阪城公園駅とメインキャンパスの間には連絡通路も設置し、通学などの利便性を高める。
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夢洲リゾート地と東西軸を形成
府・市は、同地区を大阪市東部の拠点としたい考え。西側では25年の大阪・関西万博の開催地やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致予定地・夢洲(ゆめしま)があり、東西軸を形成する。
大規模な都市整備が進むJR大阪駅北側の再開発地区「うめきた」と、難波・天王寺周辺を結ぶ南北軸に加え、新たな基軸とする。
大阪城東部地区のまちづくりの方向性案は、6月3日にパブリックコメント(意見公募)を終えた。寄せられた20件の意見を集約し、計画を固める。
本年度は周辺地域と連携したまちづくりの展開の検討などを始める予定。地権者や住民とエリアマネジメント組織も形成。新大学の象徴となり得る大阪城や生駒山などの景観を、どう守るかなどの議論を進める。新大学を成長のエンジンに進行する〝ヒガシのまちづくり〟の行方が注目される。
強み生かす知の拠点 25年にメインキャンパス 府市統合の新大学「大阪公立大」
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大阪府立大と大阪市立大が統合し、2022年に開学を予定する新大学の名称が、「大阪公立大学」に決まった。〝知の拠点〟として〝ヒガシ〟の先導役に期待されるメインキャンパスは25年、森ノ宮地区に設置する。単なる組織再編にとどまらず、相互の長所を生かした相乗効果を発揮できるか注目される。
両大学は統合に向けて19年4月に運営法人を一元化した。法人は今年10月に新大学の設置認可申請を国に提出する。
府市とともに策定した基本構想によると、大阪公立大は1学域と11学部、大学院の15研究科で構成される。府立大は工、農、獣医学、市立大は理、医、人文、社会学とそれぞれの強みを組み合わせ、高度な融合研究を目指す。
市立大学長で公立大学法人大阪の西沢良記理事長は「両大学の歴史と伝統を生かし、従来の公立大学の枠を超えた知の拠点を目指す」とうたう。
産官学が連携したシンクタンク機能が置かれ、製薬会社や大規模病院と創薬の共同研究を行う。行政のビッグデータも活用し、高齢化など都市問題に対処。最先端技術を生活や都市機能に導入するスマートシティーを実現。国内外から学生や研究者を呼び込めるコンテンツを提供する。
新大学の学部入学定員は約2900人で全体の学生数は1万6千人。国公立大としては3番目の多さとなる。
メインキャンパスは、JR大阪城公園駅近くの森之宮地区にある2・6㌶の市有地に整備され、1、2年生は教養課程となる基幹教育を受講する。文学、リハビリ、生活科学の3学部が設置される。
工学部は堺市中区の中百舌鳥、理学部は大阪市住吉区の杉本などにキャンパスを集約。羽曳野キャンパスは売却などを検討。整備費は約1千億円に上る。
府市は関連経費の負担を折半する。総額が見通せないが、メインキャンパス整備については民間活力手法を導入し、経費の縮小を図る。
