思わずリピートしたくなる、新しいカレーに出会える店

 大阪市平野区の住宅街に、黄色い壁がひときわ目を引く店がある。カレー屋マカリイ平野店だ。北区で間借りのカレー屋として営業していた「宿借りカレー屋マカリイ」の常設店舗として、昨年2月にオープン。地元のみならず、遠方から来店する客もいるという。その人気の秘密に迫った。(仲野恵子)

何度来ても飽きないこだわりカレー

 同店のメニューは親チキンカレー、若チキンカレー、キーマカレーの定番3種類に期間限定カレーを加えた4種類。好きな2種類を選んであいがけもできる。若チキンカレーは唐辛子を使っていないので、小さな子どもでも食べられる。限定カレーは“麻婆豆腐カレー”や“アサリ出汁えびカレー”など全部で12種類。店主の坪井麦生さん(35)は「何度来ても飽きない。いろんなカレーが食べられるお店がいいなと思って」と話している。

 作り方にもこだわりがあり、化学調味料は使わず、素材のみで味を出しているのだ。「化学調味料を使うと簡単に味がまとまるが、どこかで食べたような味になる」。加えて、油もできるだけ抑えて、小麦粉も使っていないという。

 「カレーは飲み物」と言った人がいたが、同店のカレーはしっかりとした「食べ物」だ。中でも筆者が驚いたのがキーマカレー。キーマカレーと言えば、たいていひき肉が入ったサラサラのカレーだが、同店のものは違う。水分はほとんどなく、しっかり焼き付けたひき肉と、小さくサイコロ状に刻まれたキノコと香味野菜がゴロゴロしている。こんな食感のキーマカレーは食べたことがない。

“夢ノート”を実現

 坪井さんは、20代前半の頃、将来やりたいことを記した“夢ノート”に「カレー屋になる」と書いていたという。その夢が動き出したのが29歳。イベントで飲食ブースを出すことになり、ネパール人の友人からカレーの作り方を教わったのが始まり。このイベントをきっかけに、堺のカフェ「MA-A-NA」のオーナーと知り合い、カフェを間借りして月1回カレーを出すことになった。「宿借りカレー屋マカリイ」の誕生だ。さらに1年後、知人のつてで北区にある東通本社ビル1階のカフェスペースを間借りできることになり、週2回火曜と金曜のランチタイム営業を始めた。現在も、金曜は人に任せているが、火曜は「マカリイ梅田店」として、坪井さん自身が営業を続けている。

既成概念にとらわれないカレー

 ネパール人の友人から教わったチキンカレーを元に、いろいろアレンジを加えてマカリイオリジナルのカレーをどんどん生み出している坪井さん。「元々現地ではカレーというものは無くて、家庭料理の何にでもスパイスが入っている。冷蔵庫の残り物にスパイスで味をつければ、何でもスパイスカレーになると思う」と語る。既成概念にとらわれない自由な発想で作るカレー。ここに来れば、今まで知らなかったカレーに出会える。これがマカリイの一番の魅力なのかもしれない。

■カレー屋マカリイ平野店/大阪市平野区西脇4丁目5-5/月・水・日:11:00~14:30(LO)、木・金・土:11:00~14:30(LO)/17:00~21:00(LO)/※火曜定休(梅田店営業日)