SNSの運用支援を手がける4社が登壇したトークイベント「そこまで言って委員会」(テテマーチ主催)が11月5日、グランフロント大阪(大阪市北区)で開催された。
登壇したのは、SNSの企画・運用を得意とするテテマーチ(東京/大阪)や利用者の投稿分析を軸にマーケティングを支援するホットリンク(東京)、Instagram運用を専門とするSAKIYOMI(大阪)、そしてWebを活用した企業の集客や発信を幅広く支援するPLAN-B(東京/大阪)の4社。各社が日々の現場で感じている変化や課題を語った。

テテマーチの山田氏は「ここ1年で、SNSを採用に活用したいという相談が一気に増えている」と話し、「採用アカウントはフォロワーを増やすためではなく、どんな企業かを伝える窓口になってきた。SNS上でどう人を惹きつけるかを、今後もっと研究していきたい」と語った。
ホットリンクの増岡氏は「AIの活用により、一般検索でのSEO効果が弱まり、SNS上での『指名検索』が重要になっている」と指摘。さらに「X(旧Twitter)はもはや〝フォロワーを集めるSNS
〟ではなく、ユーザーの興味に応じて投稿が〝おすすめ表示〟される場になっている」と述べ、企業発信だけでなく、利用者の投稿が情報の広がりを左右すると語った。

SAKIYOMIの吉田氏は「AIの登場でコンテンツ量が急増し、発信が埋もれやすくなっている」と分析。「これからはどれだけ見られたかより、共感してくれるコアなファンをどう増やすかが鍵」と語った。
PLAN-Bは、動画制作やインフルエンサーとの協業支援などを展開。登壇した森山氏は「SNSで成果を出している企業は、〝中の人〟と呼ばれる担当者の力量が高い」とし、「AIで動画を作れる時代だからこそ、心に残るストーリーづくりが必要」とAIで生成した動画の実践例を交えて述べた。
成功事例として紹介されたのが、Xで話題になった菓子メーカー「シャトレーゼ」。購買層が40〜60代中心だったためチラシ中心の販促を行っていたが、分析すると口コミ投稿は10代が多かったという。SNSで若年層への発信を強化した結果、売上は約3倍に伸びた。
「SNSは単なる宣伝ではなく、生活者の文化や感覚を理解することが大切」と登壇者らは口をそろえた。

参加者は静かにメモを取りながら耳を傾け、企業のSNS担当者の姿も多く見られた。「何をどう投稿すればよいのか」「ターゲットを変えた場合どうしたらいいのか」といった悩みの声も寄せられた。これに対し、テテマーチの山田氏は「まずは自社アカウントをきちんと分析し、まずはデータをもとに現状を整理することが大切」と話した。そのうえで、「この会を継続し、参加者とともにマーケティングを研究していきたい」と締めくくった。
(文・写真/石嶋瑞穂)
