
アレルギーの有無に関係なく「小麦か米か」を選べる食の選択肢が広がっている。ビーフンなどグルテンフリー食品を専門とするケンミン食品(神戸市)は、駅弁の老舗・淡路屋(神戸市)と連携し、神戸発祥の人気駅弁「ひっぱりだこ飯」のグルテンフリー化に成功した。既に販売を開始しており、鉄道利用者を中心に注目を集めている。

淡路屋の「ひっぱりだこ飯」は、たこ壺型の陶器に炊き込みご飯を詰めた名物駅弁で、全国的に知名度が高い。今回のコラボにより、小麦由来の原材料を使用しない「グルテンフリー版」が誕生。アレルギーに配慮するだけでなく、日本人に多いとされる「グルテン不耐性」にも対応する新しい食の選択肢となった。
ケンミン食品はこれまで、開催中の大阪・関西万博に出店する「GF RAMEN LAB大阪・関西万博店」でグルテンフリーラーメンを提供し、累計5万杯を突破するなど支持を拡大してきた。同社は「小麦アレルギーの方だけでなく、グルテンフリーを意識していない方にも知ってもらうことでグルテンフリーの良さを理解してもらい、普及を進めていきたい」との姿勢を示している。
今回の取り組みを牽引するのは、ケンミン食品代表取締役社長の高村祐輝氏と、淡路屋代表取締役副社長の柳本雄基氏。ともに「ゆうき」という名前で誕生日まで同じという縁から「Wゆうき」と呼ばれる2人は、「日本人の食生活と健康のために勇気を持って挑戦を続けたい」と語る。
小麦に含まれるタンパク質「グルテン」は、消化の過程で体調不良を引き起こす人もいる。欧米と比べ、日本人は米を主食としてきた歴史からグルテン不耐性の割合が高いことも研究で明らかになりつつある。〝グルテンフリーひっぱりだこ飯〟の登場は、駅弁文化と健康志向の融合として、新たな食の広がりを予感させている。