アラブ⾸⻑国連邦館(UAE パビリオン)は19⽇、同国のナショナルデーを「UAEの⽇(UAE Day)」として、盛大に開催した。

この⽇限りの祝祭では、公式式典や⽂化パフォーマンス、ピアノ演奏、伝統⼯芸ワークショップなどを通じて、UAEの物語を来場者に楽しんでもらえるように披露した。
「UAEの⽇」は、UAEパビリオンの歩みの中で象徴的な意味を持つ特別な⼀⽇。まさに「⼤地から天空へ(Earth to Ether)」というテーマを体現する祝祭だった。

午前10時から始まったパレードは、セルビア館前からEXPOホール「シャインハット」までの間を、UAEの伝統的なパフォーマンスチームやパビリオンのユースアンバサダーが行進し、祝祭の幕を開けた。
午前11時からは、シャインハットで公式式典が行われ、国歌⻫唱、代表者スピーチ、詩の朗読、伝統舞踊「ラズファ」の披露を通じて、UAEと⽇本の友情と未来への希望を讃える時間となった。


詩の朗読は、詩⼈Shamma Faisal Al Bastaki(シャンマ・ファイサル・アルバスタキ)さんが感情豊かな語り口調で朗読を⾏い、観客を詩の世界へ誘った。


また朗読中に前面の壁に映し出される幻想的なイメージ映像や星座のような少し謎めいたイラストが、詩の朗読との相乗効果を演出していた。


伝統舞踊のラズファ(Razfa)は、UAEの伝統芸能の中でも⼈々の⼼を揺さぶる舞で、誇りと共同体の結束を象徴する。


午後からは、パビリオンに戻ってパビリオンの前の広場や館内のイベントスペースなどで様々な取り組みが展開され、多くの一般来館者が鑑賞したり、体験イベントに参加して、同国の文化に触れる貴重な機会を体験することができた。


午後2時15分から午後7時頃までパビリオンの前では不定期的に、伝統舞踊のパフォーマンスが行われた。
万博開幕の際に華を添えた伝統舞踊アヤラが、再びパビリオンに登場し祝祭ムードを広げた。アヤラ(Ayyala)は、同国を代表する伝統舞踊で、「棒の踊り」とも呼ばれている。⼆列に並んだ男性が向かい合い、太⿎の重厚なリズムに合わせて⽵の棒を⼿に⼒強く舞い、詩や唱和を響かせる姿が特徴だ。



同時間帯は、午後2時半から並行して館内でも文化ワークショップが開催されていた。来場者は様々な伝統⼯芸を体験しながら、職⼈技と持続可能な知恵に触れる体験ができた。
筆者が見学させてもらったのは、その中の1つで、アルティーブ体験(Alteeb)という香水の調合を紹介するもの。
ウードやローズなどを⽤いて⾹⽔を調合する流れを紹介していた。この体験では、⾹りがエミラティ⽂化においていかに深く根付いているか、⽇常⽣活や伝統やおもてなしと関わりを持っていることなどを伝えていた。



同国では、女性は自宅でこのような調合をして、自分オリジナルの香水を作ることが普通だということだった。究極の個性の主張になりそうだし、顔を隠しているため、オリジナルの香りが余計に重要なのかもしれない。
午後3時からは、レイガーデンでピアノの演奏会も行われた。演奏を行ったピアニストのDana Alkatheeri(ダナ・アルカティーリ)さんは、ソルボンヌ⼤学アブダビ校に在学する20歳のピアニストであり、作曲家。





広い舞台の上に置かれた1台のピアノに向かい合って演奏を始めると、若干20歳とは思えない情緒豊かな音色を奏で始めた。
演奏時間は30分弱と聞いていたので、4曲から5曲程度と思っていたが、アルカティーリさんは休むことなく、一曲終えると次、という風に雰囲気やリズムの違う曲を次々と演奏し、観客が息をのむような見事な演奏を披露し、会場に大きな感動を届けた。
様々なイベントを通して、同国の魅力や文化の奥深さ、力強さ、そして個々の豊かな才能を世界にアピールすることに成功したのではないか、と強く感じる1日だった。
日本人から見ると、何か独特の世界観を持っている国のように感じるが、日本とUAEの間には強い繋がりや長年にわたる交流があり、経済面や今後の世界での舵取りでも協力していけることがたくさんありそうだ、と感じさせてくれたことも付け加えておきたい。