【円滑な親子関係(6)】子どもに怒りの感情がわいたら

子どもに怒りの感情がわいたら

コミュニケーションライター/黄本恵子

 子どもに対して、時にコントロールできないぐらいの激しい怒りがわいてしまう…そんなことありませんか?

 幼稚園年長の息子を持つあるお母さんは、子どもが人前で自由な振る舞いをすることや、ルールを破ってしまうことが許せないそうです。ママ友や他の人が見ている前でも、つい大きな声やキツイ口調で怒ってしまいます。

 幼稚園年長ぐらいだと、協調性がまだ身についていない子も多いです。気持ちが先走ってしまって、ルールを破ってしまうこともあります。

 親が子に激しい怒りを抱く時は、子どもに大きな問題があるというよりも、親の内面が何らかの刺激に強く反応し、引き起こされていることが多いようです。

 このお母さんの場合、『子どものしつけは、母親がすべて完璧にしなければならない(完璧にして当然だ)』という観念を強く持っていました。なので、子どもが自分の言いつけを守らないと、『母親としてダメ・失格』と見られるような気がして、カッとなってしまうのです。『子どもに恥をかかされた』という感覚も強いと言います。

 子どもの言動に関して、親にすべて責任があるかというと、そうではありません。子どもの個性によるところも大きく、親がコントロールできないことは多々あります。

 わき出た感情にまかせて人前で子どもを強く怒って(叱って)しまうと、子どもの自己肯定感が著しく低くなります。親の顔色だけ気をつけて行動する子になってしまうこともあり得ます。

 子どもに激しい怒りがわいた時、自分に意識の矢印を向けてみることはとても大切です。

 こだわりや固定観念が強すぎるのかもしれません。

 「言うことをきかないのは、私を軽く見ているからだ」など、被害的に捉えてしまっている場合もあります。

 普段は向き合わないようにしている自分や配偶者の嫌な部分が子どもに反映されて腹が立つ…ということもよくあるようです。

 自分に意識を向けると、少し冷静になることができますし、気持ちの切り替えも早くなります。伝え方も工夫ができます。

 子どもが望ましくないことをした場合、伝え方として、『子どもの気持ちを受け入れる』→『行為・行動を注意する』というステップは意識したいポイントです。

(例)

「ここで騒いじゃダメってことぐらい分かるでしょ!?何考えてるの!」

「大好きなお友達と一緒で、興奮しちゃったんだよね。でもここは静かにしなくちゃいけない場所よ。小さなお声で話そうね」

 ついカッとなって怒ってしまった時は、冷静になってからでいいので、『子どもの気持ち
を受け入れる』ことはどこかで必ずしてあげたいものです。子ども側の主張・反論も聞いてあげましょう。

 子どもに対する怒りは、一生懸命に子どものことを考え、子育てをし、関わっているからこそ出てくるものだと思います。

 かくいう私も10歳の息子にはよく怒っています。息子は私の許容範囲をいとも簡単に超えてくるんですよね。

 怒らずに子育てすることを目指すのではなく、子どもと一緒に成長するつもりで、怒り方を少しずつコントロールしていけるといいですね。(私もがんばります)

黄本恵子さん

黄本恵子(きもと けいこ)大阪市出身。1980年生まれ。関西大学社会学部卒業。心理学について学びを深め、人間関係に悩む人々のカウンセリング業務に従事。その経験を活かし、家族間や男女間のコミュニケーションについての記事を大手WEBマガジンにて執筆。ビジネス書の編集・執筆協力にも多数携わる。米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。
〈メディア出演〉ニュース番組『新・情報7daysニュースキャスター』に出演。「高齢者の親に免許返納を促す伝え方」についての記事が反響を呼び、取材を受ける。朝の情報番組『ビビット』に出演。「2歳児ができること」について紹介した記事が取り上げられる。