ガラスやビールだけじゃない! アートも見もの、螺旋回廊で巡るチェコパビリオン

 ボヘミアンガラスで覆われた円筒形の建物のチェコパビリオン。

 1階がカフェバーで、建物の左側の入り口から建物の周りを巡るように設置されている螺旋回廊を通って4階の屋上テラスまで移動していく。途中、所々にガラスのインスタレーションが置かれていたり、アーティストによる手書きのイラストが壁に描かれていて、来館者を迎えてくれる。

チェコ、万博

チェコ、万博

 1つ1つのイラストには意味があり、メッセージが込められているので、それらを1つずつ読み取ってもらいたい、という。

 ではまずは、1階のカフェバーから。

チェコ、万博

 前に立つ白いものは、巨大なガラスの円柱で、ガラスの国ということを主張している。

 テストラン最終日に1日で1000枚以上のビールを販売したということからもわかるように、チェコは世界一のビール消費大国。そしてチェコといえばピルズナービールと連想できる人はビール通のはず。
大きめのジョッキで提供されるピルズナービールは、3つの飲み方があり、それぞれ泡の量が違う。

チェコ、万博

 一番人気はもちろん泡ではなく中身のビールが一番多いもの。

 そしてこのカフェバーの中で販売されているものの1つがパビリオンのマスコットキャラクター「RENE(レネ)。

チェコ、万博

 「RENE」は、1970年の大阪万博のチェコスロバキア館で注目を集めたガラスアートをデザインしたガラス芸術作家レネー・ロゥビチェクから名付けられたもの。
 ちょっとミャクミャクに似た様相だが、ミャクミャクを真似たわけではなく、1970年当初からこのデザインだったようで、当時はガラスでできていたものを、今回の万博に合わせてぬいぐるみにしたのだ。

チェコ、万博

 そこにはミャクミャクの人気の高さが影響したようだ。

 カフェバーを出て、パビリオンの展示エリアへ移動しよう。
 先にも書いたように螺旋状でゆるやかな上り坂になっている回廊を登りながら、ガラスアートやイラストを楽しんでいく作りになっている。

 最初にピンクオレンジ系の色の大きなガラスが出迎えてくれる。

チェコ、万博

 その前に立つ木の柱は、チェコから取り寄せた木材で、その強度が日本の木材より強く耐震性に優れているそうだ。

チェコ、万博

 進んでいくにつれて、様々なイラストが壁に描かれているが、どれも謎かけ的な要素があり、アーティストが1つずつ手書きしたもので、描かれた人間の体内にある丸い物体が先祖から伝えられてきた大事なものを現している。それが何かという定義はなく、各自にとっての価値あるものということで、それぞれで考えてほしいという説明だった。

チェコ、万博

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チェコ、万博

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 途中で見慣れたようなイラストが登場した。またしても大谷翔平選手だ。アメリカ館にも登場していた。

チェコ、万博

 2023年のワールドベースボールクラシックの際、チェコチームは日本チームと対戦。チェコにはプロ野球チームはなく、普段教師や電気店を営んでいる人がナショナルチームを結成して日本のプロ選手チームと対戦し、アマチュア投手があの世界の大谷選手を三振に取ったということが大ニュースになったことを讃えてのイラストだ。これはチェコ人たちのプライドと誇りを現したイラストであり、日本との親交の証でもある、意味深いものなのだという。

チェコ、万博

 回廊の途中、数箇所に別れて置かれているガラスのインスタレーションは、一つずつが見応えあるものになっている。
 天井から吊るされたガラスの数々。

チェコ、万博

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 よく見ると、それぞれの中には植物の形が表現されていて、2つとして同じものはない。

チェコ、万博

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 上階の天井から吊るされている木の枝のようなものは桜の木を表現していて、先端のデジタル画面には桜をイメージした花が表示されている。

チェコ、万博

 最後に登場するインスタレーションは、黄緑色で花を逆さまにして吊り下げている。

チェコ、万博

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 手を伸ばせば届きそうな、そして触ってみたくなる誘惑にかられる、そんな作品だ。

 約250メートルほどある回廊を登ってくると最後は屋上に出る。この日は快晴だったので空の青がとても綺麗で爽やかだった。

チェコ、万博

 ここでは周りのパビリオンを眺めたり、のんびりしたり、自由に過ごせる。
また、中ほどにあるガラス性の丸くなっている部分は、その下にあるオーディトリアムの天井になっている。

 ここまで建物の外周に添って屋上まで上がってきたが、この建物の中は2階と3階が吹き抜けのオーディとリアムになっていて、コンサートやパフォーマンスが行われたり、ビジネスミーティングに使われたりする作りになっている。

チェコ、万博

 コンサートやパフォーマンスは一般の人も自由に入って鑑賞出来る。
 そのオーディトリアムの天井部分が、先ほどの屋上の丸い部分になり、上から見ると何も見えないが、オーディトリアムの中からだと、誰かがその上を歩くと影が映ってすぐにわかる。

 ガラスアートにイラスト。ビールにライブパフォーマンス、となかなか盛り沢山のチェコパビリオン。さらっと眺めながら登っていくと20分くらいで終わってしまうかもしれないが、一つずつゆっくり眺めて、屋上で一息ついて、オーディトリアムでパフォーマンスを鑑賞したら、やはりここも1時間は欲しいパビリオンだ。
 当然、カフェバーでピルズナービールを楽しめば、もっと時間は必要だろう。