
大幸薬品と感染研が共同研究 学会誌に掲載へ
胃腸薬「正露丸」の主成分として知られる「木(もく)クレオソート」に、魚介類に寄生するアニサキスの動きを抑える効果があることを、大幸薬品(大阪市西区)と国立感染症研究所の共同研究で初めて動物実験により確認した。研究成果は、2025年10月発行予定の日本寄生虫学会の機関誌「Parasitology International Vol.108」に掲載される。
アニサキス症は、刺身や加熱不十分な魚介類の摂取後、数時間以内に激しい腹痛を引き起こす寄生虫感染症。厚労省の統計によると、2024年のアニサキスによる食中毒は330件と、原因物質として近年多い傾向にある。
今回の実験では、アニサキスを経口投与したマウスに正露丸1回分に相当する木クレオソート0.67ミリグラムを投与。その後摘出したアニサキスの運動が抑えられていることを確認したという。
柴田高代表取締役社長は「木クレオソートは殺菌剤として伝来したが、近年では腸内細菌に影響せず水分吸収を促す止瀉薬としての薬効が解明されてきた。今回の成果は、日本の食文化と切り離せない“食あたり”への新たな効果を示すもの」とコメントしている。

和食文化の広がりとともに注目が高まるアニサキス症対策。伝統薬の有用性が科学的に見直される動きにも、関心が集まりそうだ。
