障がい者の「18歳の壁」解消に光 「地域活動支援センター」の取り組み

 近年、支援を必要とする障がいのある子どもの発達を支援する放課後等デイサービス(放デイ)が急増している。児童福祉法で定めたサービスで同サービスを利用できるのは18歳まで。18歳を超えると障害者総合支援法による各種障害福祉サービスに切り替わるため、新たにサービスを提供する事業者を探す必要がある。この時期に直面する困難な状況を指して「18歳の壁」と言われている。

 そこで福祉担当記者の私が着目しているのが「地域活動支援センター」(地活)の役割だ。

 地活は各市町村の自治体が事業者に運営委託しているサービスで、大阪市内では計34カ所の事業所が運営している。16歳以上で各種障害手帳を持っている人のうち、支援学校に通っていない人などが利用対象。生産活動や就労準備まで行う活動支援A型と、創作活動などが中心で地域社会との交流の促進や日常生活の自立支援などを行う活動支援B型があり、取り組んでいる内容は事業所によりさまざまだ。食事など実費が必要な費用を除き基本的に利用料はかからない。

 大人の利用者との関わりや社会体験、就労などの将来までを見据えて考えると、地域活動支援センターに参加してみることで「18歳の壁」のハードルが少し低くなるかもしれないと期待している。

事例紹介:地域活動支援センターの取り組み

大阪市鶴見区「みどり作業所」

〝あたりまえの日常〟を自然に過ごせる居場所がコンセプト

みどり作業所の活動の様子。協力して餅つきをする利用者

 NPO法人「彩葉」が運営している活動支援A型。心に何らかの不安や、生きづらさを抱えている人たちが自分らしい生き方や社会参加、就労準備などそれぞれの目的で利用することができる。
 適切な配慮があれば〝あたりまえの日常〟を自然に過ごせる居場所がコンセプト。焼き菓子を作って出張販売をしたり、軽作業、新聞の配達にもチャレンジしている。たくさんの仕事の経験ができ、工賃も支給されている。グループホームも近くで運営。ここでがんばることで就職した人も輩出している。利用や見学は随時受け付けている。

■所在地/鶴見区横堤4-24-8
問い合わせ先/06(6914)2799

旭区「光生園」

「ルールがないのがルール」家でも仕事場でもない第3の居場所

光生園の活動の様子。定期的に開催するバーベキュー大会が人気

 社会福祉法人「リベルタ」が運営する活動支援B型。障害者手帳を持つ16歳以上の人なら誰でも参加できる。一般就労を目指すことが目的の*就労継続支援事業とは異なり、「好きなことをして、自由に楽しく過ごす」がコンセプト。「土日は餃子やお菓子など料理教室の時間を設けていますが、基本的には皆さんカラオケだったり健康麻雀だったりと思い思いの時間を過ごしています。疲れたら一人で過ごせるスペースも用意しています」と管理者の松本さん。

「平日は就労に通っていて週末の息抜きに」「退院後の生活リズム作りに」と、来館目的も利用者それぞれ。自由に好きな時間を過ごすことができる。利用や見学は随時受け付けている。

■所在地/旭区赤川4−1−30
問い合わせ先/06(6921)6603

*就労継続支援事業:障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスで、就労継続支援A型とB型がある。A型は事業所と雇用契約を結んだ上で就労の機会を得られるため、各都道府県の定める最低賃金以上が支払われる。B型は雇用契約ではなく、事業所で取り組んだ活動に対して工賃が利用者に支払われる。共に18歳以上で障がいや病気により一般企業で働くことが困難な人が利用できるサービスのことを指す。

取材・文/濱田康二郎