大阪府内の首長選で初めて維新の現職を破り、新たなリーダーに選ばれた箕面市の原田亮市長。若干38歳の新市長は、市をどう舵取りしていくのか。(竹居真樹)
ー大阪で維新を初めて選挙で破ったことで話題になった。勝因は
一番は浮動票をうまく取り込めたことだ。選挙戦略で私が38歳の若手ということで、ポロシャツとスニーカーで政治家らしくないイメージ戦略を徹底した。SNSや動画メディアを中心に図表やイラストなどを使い、20㌻の政策提案集を作って全戸配布した。政治に関心の低い住民の心もつかめたと思っている。
ー北大阪急行延伸や駅ビルの開業、大阪大の誘致など市中部の未来が明るい一方、市西部・東部の住民に不安感があったとの声も聞く
それはあった。北急延伸開業に伴い、バス路線が不便になった不満。街なかから緑が減ったという声もあった。他市より優れていた子育てや教育も市の独自性が減っていたため「バス・緑・子育て(教育)」の三本柱で選挙戦を戦った。先ほどの話にも繋がるが、これが勝因の一つにもなった。
北急延伸によりバスは本数が減り、千里中央へ向かう路線の多くが廃止。これに伴い、北急延伸の利便性の効果が薄まった。このため、運賃250円均一のコミュニティバスを拡充するなど、バス路線の再編で生じた不便さを解消していく。
ー子育てや教育が〝世界一のまち〞を掲げられているが、具体的な取り組みは
箕面市はもともと教育水準が高いが、特に英語に力を入れる。船場地区に移転して来た私の母校でもある大阪大学との連携を進めたい。
ALT(英語を母国語とする教師)と給食や掃除の時間など日常に触れ合っているが、それだけでは英語のアウトプットの機会が足りない。そこで「彩都」にある小中一貫校で、姉妹都市であるニュージランドのハット市の学校とZOOMを接続し、交流を続けている。常時接続すればいつでも交流でき、留学しているような状況を作りたいが、実際には諸課題があるので難しい。
そこで今は時差が1時間のフィリピンを視野に入れている。同国は英語が堪能で日本のアニメや文化に興味があり、技能実習では将来的に日本語を求められるから、互いのメリットが合致する。今後は箕面市にある小中学校20校全てに普及させていきたい。お金をかけなくても工夫一つで国際交流を強化することが可能だ。
ICTやプログラミング教育にも力を入れており、一人一台端末が始まる前からタブレットを配布している。箕面市の学力はすでにトップクラスだから、社会性などのソーシャルスキルも育んでいきたい。
ー今後、箕面市をどのようなまちにしていくのか
子育て世代が住みやすいまちにしていきたい。赤ちゃんがいる世帯にヘルパーを派遣したり、オムツを定期宅配したり。これは産後うつやネグレクトといった見守りにも役立つと思う。あとは阪急箕面駅前に再整備中のビルの屋内に市民は無料で使える子どもの遊び場を作る。もちろん、塾代助成や給食無償化もやっていく。若い世代や子育て世代を呼び込み税収を増やすことで、幅広い世代へ住民サービスの拡充を進めて、5年先、10年先と発展するまちを作っていきたい。
子育てするには箕面が一番、住んで良かったと思えるまちにできるよう頑張りたい。