コミュニケーションライター/黄本恵子
以前、円満な関係を続けている30~50代の夫婦に対して「夫婦円満において大切なことは?」というアンケートを取ったことがあります。
二十数名の方が回答してくれました。いろんな意見がある中で、よく見られた共通項がありました。何か分かるでしょうか?
いただいた意見をそのまま紹介すると「束縛をしない」「自分の世界(環境、時間)を必ず持っていること」「お互いの『ひとり時間』を大切にする」「余計な干渉はしない」といったものでした。
つまり、円満な夫婦は、相手と自分との間に線引きがあって、パートナーに対する精神的な依存度が低いのです。
確かに、夫婦間の争いが絶えないところは、心理的な距離感が近く、相手と自分との境界線が曖昧なケースが多いです。パートナーに対して精神的に強く依存している状態ですね。
パートナーに強く依存している状態だと、相手のことが気になりすぎて、干渉・束縛するなど、苦しめる言動をとることが多くなります。また、相手の存在やしてくれることに対して「当たり前」が多くなり、感謝の気持ちが少なくなります。これでは夫婦仲は険悪になっていく一方です。
パートナーへの依存度を下げるには、依存先を増やすこと。
・夢中になれる仕事をする。
・趣味を作る。
・友人との交流を楽しむ。
などなど、家庭以外の居場所も意識して作ることが大切です。
妊娠中や育児中の場合、女性は家庭以外の居場所を作ることが難しくなります。夫側が妻に一人の時間を作るなどの工夫・協力が必要でしょう。
夫婦で同じ仕事場で働いているような場合は、一緒にいる時間が長くなってしまいます。別々で過ごす時間を作ることや、お互いにプライベートの時間を充実させることがより必要になってくるでしょう。
近い距離にいる相手には、どうしても依存心が多く出てきてしまうもの。物理的に距離をとるようにすれば、精神的な依存度も減らせます。
パートナーへの依存度が低くなると、感謝できることが増えます。夫婦円満な家庭にはよく「ありがとう」の言葉が行き交っていますが、これは相手の存在やしてくれることを「当たり前」と捉えていない証と言えるでしょう。
パートナーに対して不満や愚痴しか思い浮かばない…という方は、もちろん相手に原因があったり相性の問題もあると思いますが、「求めているものや依存心が大きすぎる」という面について考えてみてもいいかもしれません。
結婚は、『家同士の結びつき』という考えが薄れ、『個人同士の結びつき』という面が強くなりました。家族といえど、相手を自分の一部分などと考えないこと、自立した一人の人間として尊重することは、これからの時代の夫婦円満に不可欠なのだと思います。
黄本恵子(きもと けいこ)
大阪市出身。1980年生まれ。関西大学社会学部卒業。心理学について学びを深め、人間関係に悩む人々のカウンセリング業務に従事。その経験を活かし、家族間や男女間のコミュニケーションについての記事を大手WEBマガジンにて執筆。ビジネス書の編集・執筆協力にも多数携わる。米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。
〈メディア出演〉ニュース番組『新・情報7daysニュースキャスター』に出演。「高齢者の親に免許返納を促す伝え方」についての記事が反響を呼び、取材を受ける。朝の情報番組『ビビット』に出演。「2歳児ができること」について紹介した記事が取り上げられる。