「いつか社員みんなで笑い合い、お祭りができる会社に」倒産危機から職場を変えた社長の決意

 日本は〝街がきれい〟という印象がある一方、深刻なごみ問題を抱えている。使い捨て容器の排出量や過剰包装など、廃棄物をめぐる課題は多い。限られた国土の中で、廃棄物を埋め立てる場所にも限界があり、リサイクルや資源の循環利用を進めることは、これからの社会にとって重要なテーマだ。

 そんな廃棄物処理の現場で、10年以上にわたり無事故・無災害を続け、2024年には全国の安全意識の高い優秀な現場リーダーに贈られる「安全優良職長厚生労働大臣顕彰」を受賞した企業がある。資源の循環利用にも積極的に取り組む大阪市鶴見区のジェイ・ポートだ。代表取締役の樋下茂さんに、廃棄物処理の現場における安全管理や資源循環への取り組みについて聞いた。

大阪の廃棄物処理会社が大切にする人づくり

 はじめまして。ジェイ・ポートの樋下茂と申します。1967年に大阪市内で生まれ、今年で59歳になります。前職は外資系銀行に6年間勤務していましたが、現在は産業廃棄物処理業を営んでいます。

「業界のイメージを一新」を掲げる、ジェイ・ポートの樋下茂さん

 弊社は54年創業。近畿二府四県で優良認定許可を取得し、産業廃棄物処理を中心に事業を展開しています。大阪市鶴見区では「産廃のコンビニ」をコンセプトに、軽トラック専門の多品種少量受け入れや処理困難物にも対応。また、此花区では混合廃棄物から廃プラスチックを選別・加工し、石炭代替燃料として供給するなど、循環型社会、脱炭素社会に向けた取り組みも進めています。

荒れた職場からの再出発

 経営の根底にあるのは、両親から繰り返し聞かされた「従業員さんのおかげやで、大事にせなあかん」「商売というのはええもんや、頑張ればお客さんが応援してくれる」という言葉です。これを胸に、「一人一人が笑顔で輝く、未来創造100年企業になる」というビジョンを掲げています。

 しかし、家業を継いだ当初は、まさに〝罰ゲーム〟のような毎日でした。職場は荒れ、挨拶もなく、暴言やいじめもあり、社内には常に張りつめた空気が流れていました。倒産寸前ともいえる状況で、借入に頭を抱えながら一人机に向かっていたある日、隣の会社で開かれていた「お祭り」が目に入りました。

 「いつか、社員みんなで笑い合い、お祭りができる会社にしたい」

 そう強く思い、目標に掲げました。「論語」などの古典を学び、「木鶏会(もっけいかい)」を通じて社内人間学にも取り組みました。被害者意識を改め、社長というチャンスを人生でもらったことに感謝をし、「会社円満は自分でできる。ここからいい会社にしよう」と決意しました。そして、「信頼はまず自分からするもの」と、社員を信頼することを徹底。少しずつ社風が変わり、それと同時に会社は黒字転換へと向かいました。

 そして昨年度、長年の夢が現実になりました。若手社員が主体となり、社内木鶏全国大会の晴れ舞台で、笑顔と元気いっぱいの「お祭り」を披露してくれたのです。思いが実現した喜びの瞬間でした。

若手社員らが披露したお祭り

ジェイ・ポート社長が信じた「思いは実現する」

 「諦めなければ、思いは実現するんです」。人の心がきれいになれば、皆が思いやりを持ち、心地よく過ごせる環境が整う。そして、一人一人の行動が積み重なり、その先にある地球全体もきれいになればと思っております。読んでくださる方が何か一つでも感じていただければ幸いです。

大阪市鶴見区にある社屋

■ジェイ・ポート/大阪市鶴見区今津北3-3-13/電話06―6963-5351
https://j-port.co.jp

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