ソフトバンクグループ(SBG)が、期間7年の「社債」を個人向けに約1兆円規模で発行する計画であることが、8月18~20日にかけて各メディアで報じられた。国内の個人向け社債としては過去最大規模という。「社債」と聞いても、株や預金とどう違うのかピンとこない人も多いはず。今回はSBGの事例をもとに、社債の基本をやさしく解説する。

社債=企業への「お金の貸し出し」
社債とは、企業がお金を借りるために発行する証券のこと。私たちが銀行にお金を貸す「預金」に近いイメージで、企業に直接お金を貸すと考えるとわかりやすい。
SBGの社債を買うと、投資家はSBGにお金を貸したことになる。SBGは決められた利率で利息を払い続け、7年後の満期になったら元本(貸したお金)を返す。今回のSBG債はこの仕組みで、期間は7年。気になる利率は9月初旬に正式決定する予定だが、4%台後半になるとの見方が出ている。
▼株式とはここが違う
| 株式 | 社債 | |
| 位置づけ | 企業の「持ち分」を買う | 企業に「お金を貸す」 |
| リターン | 業績次第で株価・配当が変動 | 契約で決めた利息を受け取る |
| 破綻時 | 弁済は後回し | 株主より先に返済を受けられる |
株を買うのは会社の一部のオーナーになること。会社が成長すれば株価が上がる可能性がある半面、下がることもある。
社債は「貸し付け」なので、会社がどれだけ儲かっても利息が増えることはない。その代わり、会社の業績にかかわらず契約通りの利息が原則もらえるうえ、万一会社が倒産した場合も株主より先にお金が返ってくる順番になる。
なぜ社債の方が国債より金利が高いの?
国が発行する「国債」も仕組みは社債と同じで、国にお金を貸す商品だ。ただし国債より社債の方が金利は高くなりやすい。理由は「倒産(デフォルト)のリスク」があるから。国はまず潰れないが、企業は経営が悪化すれば倒産する可能性がある。そのリスクを負う分、投資家はより高い利息を受け取れる、という関係になっている。
「格付け」で信用力をチェック
企業がどれくらい信用できるかの目安になるのが「格付け」だ。SBGの場合、米格付け会社S&Pは「BB+」としている。S&Pの基準では「BBB-」以上が「投資適格」(安全性が高いとされる水準)で、「BB+」はその一段下にあたる。
これは「危険な会社」という意味ではなく、国債や超一流企業の社債ほどの安全性ではない、というくらいの目安。会社が普通に事業を続けていれば、契約通り利息と元本を受け取れる。
高い利息=「お得」ではなく「リスクの対価」
「4%台後半なら預金よりずっとお得!」と感じるかもしれない。だが高い利回りには理由がある。返済できるか不確実な分だけ、利息が上乗せされているのだ。高利回り=リスクを取っている証し、と考えた方が実態に近い。
例えば年4・8%だったと仮定すると、100万円投資した場合、年間4万8000円、7年間で計33万6000円の利息を受け取る計算になる(あくまで仕組みを理解するための仮の数字で、実際の利率ではない)。
「元本保証」ではない点に注意
もし発行企業が倒産(デフォルト)したら、社債の元本が全額戻ってくるとは限らない。会社に残った資産から、決まった順番に沿って返済される「弁済」という手続きが行われる。これは国が元本を保証してくれる制度ではない点に注意したい。
過去の統計(S&P、1981~2020年)では、「BB」格企業が7年間で経営破綻に至った割合は平均8・89%だった。ただしこれはあくまで過去の平均で、SBGが同じ確率で破綻するという意味ではない。
▼まとめ:社債選びで見るべき3つのポイント
①誰が発行するのか(企業の信用力)
②格付けはどうか(安全性の目安)
③何年後に返済されるか、万一の際の弁済見込みは
社債は「利率が高いから買う」ものではなく、仕組みとリスクを理解したうえで選ぶ投資商品だ。SBGはAI分野への投資拡大を背景に資金需要が膨らんでおり、今回の1兆円規模の社債もその一環。株式・国債・預金とはリスクとリターンの性格が異なることを踏まえ、資産運用の選択肢の一つとして検討したい。
