児童手当 所得制限撤廃、高校卒業まで 第3子以降、3万円に増額

国会議事堂

 止まらない少子化を受けて政府は6月1日、「次元の異なる少子化対策」の素案を公表した。年3兆5千億円の子ども予算を確保。2024年度中に児童手当の所得制限を撤廃し、対象を「高校卒業」まで拡大。0歳~高校生までの全ての子が対象だ。第3子以降の加算は3万円に増額する。

 財源については明示していないが、岸田文雄首相は「国民に追加負担を求めることはない」と消費増税を含めた税負担を否定。企業や国民の負担で「支援金制度」を構築するとしている。
 果たして少子化を食い止め、子育てをしやすくなる社会が実現するのか。

異次元の少子化対策 「児童手当」拡充、実現するか 巨額の財源 どこから捻出?

 2022年に産まれた赤ちゃんの人数は、統計を取り始めて最低の77万747人で80万人を割り込んだ。

 「次元の異なる少子化対策」の素案では裏付け財源が示されていないが、24年度から3年間で集中的に取り組み、年3兆円台半ばの追加予算を投入する。

 中でも巨額の財源が必要になのが児童手当だ。政府の目玉は①所得制限の撤廃(約1500億円)②18歳までの支給延長(約4000億円)③多子世帯への加算(約2兆円)―で、それぞれの財源が必要とされる。

 政府は当面の財源不足を「こども特例公債」でつなぎ、予算を一元管理する特別会計「こども」金庫創設などのための法案を24年通常国会に提出するとし、具体的な財源確保策を示していないが、「社会保険料の上乗せ」「企業の拠出金」「社会保障を含む歳出削減」の3点を想定している。

少子化対策案の財源は?

社会保険料の上乗せ、根強い反対論

 現在の児童手当は、所得制限を設けた上で中学生までの子どもがいる世帯に市区町村などから支給される。
▼3歳未満の子ども1人あたり月額1万5000円
▼3歳から小学生までの第1子と第2子は1万円、第3子以降は1万5000円
▼中学生1万円
▼一定以上の所得がある世帯は給付に制限がかかり、「特例給付」という形で、子ども1人あたり月額5000円に減額

 所得制限の対象は、全体で、中学生までの子どものおよそ1割、160万人程度に及んでいる。ただ、児童手当は国と地方の公費のほか、事業主の拠出金で賄われている。政府内では拡充に必要な財源の一部は事業主拠出金の増額や社会保険料の上乗せ徴収案を検討しているというが、労使ともに「賃上げの流れに水を差す」と反対論が根強い。

異次元の少子化対策案

最大の課題は「1人目」

 少子化対策を考える上で課題となっているのが、「1人目の壁」だ。「婚姻数」と「出生数」は、ほぼ連動しているから、結婚する数と、子どもを産む数はほとんど同じ状況にある。

 そこで、「少子化対策にはまず〝結婚する人〟を増やすのが大切」と最近「婚活」に力を入れている自治体がある。自治体の婚活を協力している結婚紹介所の経営者は「結婚しない理由のひとつに『経済的な不安』もあるが、結婚することが子どもの増加に繋がるという考え方は理解できます」と話す。

 6月に予定されている経済財政運営の指針「骨太の方針」にはたしてどこまで盛り込まれるのか。
 政府の少子化対策・子育てに対する本気度に注目したいところだ。