生徒×地域×卒業生でつくる温かな一日、大阪女学院「OJマルシェ」開催 探究活動の成果を披露

大阪女学院の正門

 大阪女学院中学校・高等学校(大阪市中央区)は10月25日、地域交流イベント「OJ Marché(オージェイマルシェ)2025」を開催した。チャペル前の芝生広場を中心に、地域の人気店が軒を連ね、さまざまなフードなどが並ぶ中、生徒や卒業生による企画も多彩に展開。2年目にして地域と学校が一体となってにぎわう恒例の催しになりつつある。

自ら考えて行動する

 同校は探究活動の一環として、SDGs(持続可能な開発目標)をテーマにした学びを進めている。このイベント聞きつけた在校生や卒業生の有志らが「私たちも参加したい!」と加わり、自主的に「ドライフラワークラフト」や「縁日」などの出店を企画、実施した。結果的に、同校が推進する探究活動を実践する場にもなった。

 今回、ドライフラワークラフトのチームリーダーを務めたTさん(高2)に話を聞いた。乾燥させた花を使い、来場者が自分でブーケを作る体験型のブースで、Tさんを中心に8人のメンバーが協力して運営した。当日は幼稚園児から小学生までの親子連れが多数訪れ、来場した子どもたちに「手伝おうか?」「どんなブーケにしたい?」と声を掛け、相手の思いを尊重しながら進めた。

在校生のドライフラワークラフト

 Tさんは、「ドライフラワーを単に販売するだけでなく、自分で花を選んで束ねる体験を楽しんでもらいたかった」と話す。来場者と花の組み合わせや色のバランスを一緒に考えながら作る過程で温かな交流と笑顔が広がった。

 この活動は、高校1年から始まる探究活動「プロジェクト型ラーニング」の一環だ。テーマ設定から運営までを生徒主体で行い、教員は最小限のサポートにとどめる。担当の尾﨑啓介教諭は、「『先生、これやってみていいですか?』と生徒の方から提案が出るのが本校の特徴です」と話す。

 Tさんも「大阪女学院は先生に相談しやすい雰囲気がある」と語る。段取りから自分たちで進め、どうしても困ったときだけ助言を求めるという。尾﨑教諭は「基本的にほぼノータッチ。生徒が自分たちで考え、失敗を恐れずに挑戦できる環境を大切にしています」と話す。同校の教育方針の一つ「自ら考えて行動する」精神の表れだ。

 「この学校は、やりたいと言えば協力してくれる人が多い。〝相談ウェルカム〟な雰囲気がある」とTさん。尾﨑教諭は「自分たちの関心からプロジェクトを立ち上げ、地域と関わりながら学ぶ経験が生徒を成長させている」と話した。

ドライフラワークラフトのメンバーと一緒に、笑顔を見せるTさん(写真中央)

「また戻りたい学校」卒業生がつなぐ大阪女学院の学びと絆

中高時代を振り返る山田さん(左)と中村さん

 卒業生も多く参加した。昔懐かしい駄菓子屋を出店したのは、同校卒業生で大学2年生の山田さんと中村さん。かつて学んだキャンパスで、在校生や地域の子どもたちと触れ合いながら、自らの原点を確かめる時間となった。

 2人は現在、同校の「土曜プロジェクト」で広報企画講座の講師を務めている。中学1年から高校3年までを対象に、オープンキャンパスの運営の手伝いや広報の工夫を一緒に考える活動で、後輩のサポートに力を注ぐ。高校時代から学校説明会や受験イベントの司会なども務めた。現在も奈良や江坂、天王寺など各地で開かれる校外説明会に参加することも。

 オープンキャンパス後には、来場した小学生を対象にうちわ作りやビーズアクセサリー作りといった体験企画も実施。今後は、地域の子どもたちがさらに気軽に参加できるような新しいプログラムも立ち上げたいと積極的だ。

 今回のマルシェでは、4人の卒業生で駄菓子屋を出店。単に仕入れて販売するだけではなく、来場者が楽しめる工夫を凝らした。店頭では「同校公式インスタグラムをフォローすると1品もらえる」キャンペーンを実施し、手作りのポップを添えるなど、短期間で仕事を分担し楽しみながら企画を練り上げた。

 子どもたちにはスーパーボールくじが人気で、「1番を当てる!」と笑顔で挑戦する姿も見られた。保護者からは「懐かしい」「昔を思い出す」といった声が多く寄せられ、会場は終始にぎわった。商品によっては完売となるほどの盛況ぶりだった。山田さんは「以前、説明会で会った人が声を掛けてくれてとてもうれしかった」とも話した。

卒業生プロデュースの駄菓子屋さん

 山田さんは、小学生の頃は進学に迷い、受験に前向きになれなかったという。だが、6年生のときに参加した大阪女学院のオープンキャンパスで、在校生から「どっから来たん?」と気さくに声を掛けられたことが転機になった。
 「その瞬間、『こういうお姉さんになりたい』と思ったんです。あの出会いが、この学校を選ぶきっかけになりました」。

 入学後は、体育大会など数多くの行事を通じて仲間と協力し合う喜びを知った。
 「自分の頑張りを周りが認め、応援してくれる環境でした。性格的に合わない人も時々いますが、それぞれの関係を大切にできる。そうした雰囲気が大阪女学院らしさだと思います」。
 卒業してからも、「また戻りたい」と思える学校だという。

 一方の中村さんは、同校の魅力を「生徒と先生の距離の近さ」と語る。
 「先生は何でもしてくれるわけではなく、まず『どう考えているの?』と聞いてくれる。選択肢を提示してくれるけれど、最終的に決めるのは自分。そういう関わり方が、本当の意味でのやさしさだと気づきました」。

 中学から高校に進学する際、文系・理系の選択で悩んだという山田さんも、教員の言葉に背中を押された。
 「理科は好きだけど数学が苦手で迷っていました。でも先生が『行きたいと思う理系に行ってみればいい。1年やって違うと思えば変えたらいい』と。あの一言で、失敗を恐れずに挑戦できました」。

 卒業生にとって大阪女学院は、単なる母校ではなく、今も続く〝居場所〟だ。「卒業後も先生とつながり続けられるのがありがたい」と笑顔を見せた。

 学び、支え合い、また次の世代へ。OJマルシェのにぎわいの中で、2人の卒業生たちが見せた姿は、同校の探究活動が育む〝つながりの循環〟を象徴していた。

在校生によるチャンスフラワープロジェクト

■大阪女学院 中学校 高等学校/大阪市中央区玉造2丁目26番54号/電話(中学校)06(6761)4451、(高等学校)06(6761)4113
https://www.osaka-jogakuin.ed.jp/

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